レビー小体病の自律神経症状
レビー小体型認知症(レビー小体病の1つ)の自律神経症状について、ある会で話してほしいと依頼を受けました。
幻視は注目されますが、自律神経症状は、存在すら知られておらず、質問されたこともほぼないので、驚きました。
でも、すごくうれしいです。
パーキンソン症状のない私には、生活の質(QOL)を下げている大きな要因ですから、幻視よりもずっと重要で切実な症状なのです。
レビー小体(たんぱく質が集まったミクロな塊)は、脳だけではなく、全身に溜まり、自律神経も障害します。
そのため、レビー小体病(パーキンソン病、レビー小体型認知症、その他)では、自律神経失調症や更年期障害に似た、よくわからない多様で不快な身体症状が(多くの方に)日常的に現れます。なかなかにしんどいです。
例えば、私にどんな自律神経症状があるのか、リストアップしてみます。
(すべてが自律神経症状かどうかは医師に聞いてもよく分かりません)
*血圧を一定に保てない(起立性低血圧)
血圧の低い日が多く、日によって強い立ちくらみ。(立つとそのまま倒れそうになるのですぐしゃがみ込む。) 意識を失って倒れる人もいる。
床の物を拾う、洗濯かごから洗濯物を取るなど、頭の高さが上下すると脳に強い違和感や(脳貧血のような)気持ち悪さを感じる。
食事中に血圧が下がり(食事性低血圧)、疲労感を感じて食べ続けられなくなる時がある。満腹まで食べると具合が悪くなり、動けなくなる。
(親しい人と一緒に楽しく笑って食事をしている時は起こりにくい。)
血圧は、上が80台、下が50台の日もある。
*汗の異常
暑くても汗が出にくい時があり、微熱・頭痛・倦怠感が起こる。
睡眠中、突然、カーっと暑くなり、大量に汗をかく時もある。
猛暑中は、涼しい部屋にいてもホットフラッシュのように突然暑くなって、大量の汗をかいた。不規則に汗が出たり、出なかったりする。
手のひら、足の裏だけに汗をかいたり、半身だけ汗をかくこともある。
*冷え
例年、夏の室内や車内の冷房は寒すぎて、靴下やストールが欠かせなかった。(2024年の猛暑から冷えよりホットフラッシュに悩まされるようになったが、足先だけは冷えたりする。)
夏、氷を入れた水も冷たすぎて長年飲めなかった。
温水プールの水が冷たすぎて入れず、好きだった水泳ができなくなった。
冬場は、湯たんぽ等がないと体(特に腰回り、膝から下)が冷えて寝付けない。
*倦怠感・疲れやすさ
倦怠感(だるさ、体の重さ)を感じる時が多い。
何か作業をすると、すぐ強い疲労感を感じて横になりたくなる。
理由なく、突然、強い倦怠感に襲われることもある。
*頭痛
頻繁に多種多様な頭痛が起こる。病前には経験したことのなかった頭痛(後頭部が引きつるような感じ、など)が多い。
*耳鳴り
毎日常時ある。静かな場所では、やかましいと感じるくらいの音量。
*胸がムカムカする
軽い吐き気がすることがよくある。胃腸の薬では治らなかった。
*不眠
寝つきが悪く、夜中に何度も目覚め、早朝に目覚める。
(色々なパターンがあり、時期によっても変わる。)
うとうとと眠りに落ちそうになった時に、急に苦しくなり覚醒する。
夜更かしをすると眠れなくなる。(「早く起きるために早く寝る」「遅くまで起きて翌朝は寝坊する」など自分の意志で睡眠時間を変えられない。)
*便秘
薬も使うが、薬以外のあらゆる方法を試している。
*胸痛、動悸、息苦しさ・息切れ
たまにしかないが、胸痛はとても苦しく、怖さを感じる症状。
症状の1つだと思っていたら心臓に異常があったという方もいるので、症状がひどい場合は検査を!
*めまい・フラフラする(フワフワする)
座っている時に、実際にはない地震(震度2〜3)をリアルに感じる。
「フラフラする(フワフワする)」は多くの同病者から聞くが、原因はいくつもある感じがする。歩いている時のフラフラは、脳の血流が低下しているように自分では感じる。
パーキンソン症状の強い知人は、床や地面が水面に浮かぶシートのよう柔らかく不安定に感じると言った。(つまづかなくても頻繁に転倒していた。)
*謎の痛み
以前は、ナイフで切ったような痛みを手や足の指先に感じて、幻覚の一種と思っていた。最近は、手や足の1本の指先から神経に沿ってジーンと強い痛みを感じる。(何なのかはよくわからない。)
首や首の付け根もひどく凝ったように痛い。
*「気象病」と呼ばれるもの
気圧が急激に下がる時(悪天候、台風)に、頭痛、倦怠感が強く出る。台風の時は、横になっていることが多い。
*夜間の光の眩しさ・見えにくさ
夜、どの照明も眩しすぎて目に突き刺さるように感じる。
夜、ものが見えにくくなる。青色で書かれた文字は特に。
*声が変わる
体調が良くない時は、声が変わり、小さなかすれ声しか出ない。(人からは、風邪をひいていると思われる。)話している最中に声がひっくり返ったりもする。
*ブレインフォグ(脳の霧)に似たもの
頭を使って疲れた時はもちろん、そうでない時も、急に頭に濃い霧がかかったようになる。脳の機能が落ち、人の話を理解したり考えたりすることが難しくなる。同時に、強い倦怠感も出て横になりたくなる。
自分では急に脳の血流が悪くなったように感じる。血圧を測ると下がっていることもあるが、そうでない時もある。
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まだまだありますが、よくあるものだけ書き出しました。
読むと深刻ですが、長年のことなので慣れもあり、これが私の「普通」と思っています。これらの症状は、強いストレスを感じると悪化します。
自律神経を修復する薬はないので、無理せず、工夫を重ねながら付き合っていくしかないです。(気にし過ぎるのもストレスになります。)
どんな工夫をしているかは、『レビー小体型認知症とは何かー患者と医師が語りつくしてわかったこと』(ちくま新書)で語っています。
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