東北大高度教養教育・学生支援機構の倉元直樹教授(教育心理学)によると、東北出身者の合格比率は2007年度の45・6%をピークに、20年度の33・7%まで減っている。ここ2年、コロナ禍に伴う地元志向の高まりからか、やや持ち直しているが、15年前から減少傾向だという。
中部出身者が8割を超える名古屋大を筆頭に、東京大、京都大、大阪大も圏域出身者が6~7割を占める。東北大は元々、高くなかった地元比率が輪をかけて下がっている。
倉元教授は「東北出身者はAO入試で5割超ながら、一般入試は3割ほど。AO入試を拡充してきたため、減少幅をとどめられてきたとも言える」と明かす。「優秀な生徒が他大学に流出しているならまだいいが、難関大に届く生徒を育て切れていないのが実態だ」と指摘する。
倉元教授は2006年に発覚した「必修科目未履修問題」がきっかけと見る。教育現場は問題以前からカリキュラムが飽和しており、学習指導要領の緩やかな運用で何とか対応してきたが、問題後は厳格に守らなければならなくなった。
「都市部と違って民間の教育リソースが乏しい地方では、学校が全てを担わなければならない。一方で少子化が進み、学校規模が縮小し、教員不足は深刻化している。かつての進学校にも今は幅広い水準の生徒が集まるようになり、学校の指導負担が増している」と現状を分析する。