【校正4】「賢しらをしない」ということ
ゆるゆる通信教育の校正実務講座を続けています。
講座の最初の方で出てきたのが、校正者の心構えについて。
テキストには「賢しらをしないこと」とあります。校正者は執筆者から委任を受けている立場なので、校正者の主観で赤入れをしてしまうのはよろしくないと。
原稿の誤りを正す作業は、謙虚に行うべきと。
原稿の著作権は校正者でなく、著者にある。
だから、明らかな誤りでなければ赤入れをせず、疑問点は鉛筆書きで入れるべき。
この講座、かなり時代遅れな部分もあって。校正紙はともかく、Wordの原稿であれば赤入れ→校閲機能を使っての修正、鉛筆書きで疑問点を確認→コメントを挿入…で実務をやっているところです。そういう観点が一切ないのは、アナログすぎる。
テキストの執筆陣に年配の方が多いらしく、「賢しら」という言葉を持ってくるところにもそれを感じます。
ただ、一方で、この時代がかった表現が訴えるものも大きくて。
結構なパワーワードなだけに、「利口ぶって(著者ファーストでなく、自己満足で)出過ぎたことをしてしまう」ことを戒める効果はあるなと(笑)
実は、私自身もWordの校閲機能でバンバン修正を入れていたら、上司に「それを赤入れされるのはどうかなあ。著者の立場なら、嫌かもよ。コメント機能使ったら?」と注意されて反省したことがありまして。
まさに、「丁寧な校正をありがとうございます」と言ってもらえることも増えた時期だっただけに、いい意味でわきまえることの必要性に気づかされたのでした。
この講座をゆるゆる続けているのは、こういう昔から変わらない心構えも学べるからではあります。