悔しいことばかり

小説家のことを羨ましいと思う。
言葉は僕にだって使える。同じ言葉なのに、地続きの同じ言語なのに、どうしてあんなにも美しいのだ。
僕はずっと人生の岐路に立って、行き先を眺めることしかしていない。時間は流れ見える景色も変わってしまっているのに、まだ踏ん切りがつかないでいる。
もし、好きなものを追い続けるならとことんやってやりたい。行けるところまで行ってみたいと思う。
だってこの世に僕が生まれてしまったんだから。
誰よりも美しい僕だけの景色を見たいと思うのはおかしいことじゃないはずだ。
自分を貫く力がほしい。行けるところで行ってしまえる意志がほしい。
残酷なまでに美しいものを見たとき、死んでしまいそうになる。同じ人間が産み出したことを信じたくなくて、悔しさと嫉妬で狂いそうになる。
時間がない。時間がない。
人生のタイムリミットが迫ってきている。
この先、僕は歩いていけるのだろうか。
今なら僕は最高の作品に近づける。
なのに、明日になれば僕は社会に溶け込んで、消えてしまうんだ。

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