見出し画像

往復書簡

8月に入って急に暑くなった。昨日までは冷夏だな〜と思っていたが、急に思い出したかのような真夏日。

たまたまなのだが、往復書簡形式の本を立て続けに読んでいる。

一つは『急に具合が悪くなる』(宮野真生子・磯野真穂)。https://www.shobunsha.co.jp/?p=5493

哲学者と人類学者の往復書簡で、これはずっと読んでみたいと思いながら、やっと入手できたもの。
哲学者である宮野さんは、読んでいくとわかるのだが、ホスピスを探すところまで進行した病気を抱えている。相手の磯野さんとのやりとりに、生きることも人間関係も、時間の長さではなく密度が物をいうのだということを、読み手も一緒に噛みしめて胸が熱くなる。

そしてもう一冊、いま読んでいるのは『緋の舟 往復書簡』(志村ふくみ・若松英輔)https://www.kyuryudo.co.jp/smartphone/detail.html?id=000000001320

志村ふくみさんは染織家として名前だけ知っていたが、文筆家としても有名なのだと今さらに知る。
とても美しい、ふくよかで品のある文体。柔らかな文体の往復書簡なので読みやすいが、引用される詩人や哲学者の言葉に立ち止まりながら、考えながら読んでいる。

この本は、「りとむ」の人から譲っていただいた。たまたまメールのやり取りをしていたときに、私が若松英輔さんの本(『悲しみの秘儀』)を読んでいることを書いたところ、その方が家にある『緋の舟』を読んでいないなら差し上げますと仰ってくださった。

「りとむ」には親のような方が何人か居るのだが、そのお一人で、いま本の整理をしているという。あの全集はあの方に、別の〇〇さんから譲り受けた「りとむ」はあの方に…と。

本の整理をするなんて、なんだか寂しいなとおもってしまうけれど、そういう自分で整理していく姿勢がその方らしくもあり。そんなわけで、たまたま私の手元にやってきたこの本だけども、それは必然のような気もして(これは『急に具合が悪くなる』の偶然と運命についての考察とも重なるのだが)、大切に読み継ごうと思う。

あ〜「りとむ」の東京歌会に行きたいな!お会いしたいな!と強く強く思う日々。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?