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【コラボ詩】ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア

morning

ソプラヴェステの裾をひきずって
朝日の誘惑に舌を絡める
焚火をしている漁師さんたち
誰も見てない場所で十字を切る
犬だった頃の記憶を辿って
もう少し眠りの中にいたかった

bird

両手を広げた先に
未来じゃなくて波音が飛び込む
透明でも透明じゃなくても
君がどこにいるのか僕には分かる
魚をつかまえる海鳥のように
楽譜をめくるヴァイオリン弾きのように

blue

放射線状に感電する雲
奥行きのない悲しみには
味のしないチェリーが浮かんでいる
屈折した光で頬を膨らませて
小麦色の少女は貝殻を拾う
耳を当てると聴こえる海賊の唄

journey

時計周りに抜けたトンネル
針と針がすれ違う音が小さい
水平線と地平線がバイクに三人乗り
袈裟を着た僧たちの
緑のサンダルから花が咲く
甘ったるい日焼け止めクリームの匂い

rainbow

海にかかる虹は誰の落とし物
小さい頃、拾ったビー玉のくすんだ光
あの娘がピアノをやめた理由
色鉛筆で乱暴に描いたような未来に
立ち尽くしている、綺麗だけど
15分もすれば消えてしまうだろう

ray

希望が帆を立てて合図を出すから
大きく手を振って応える
さよならであり、はじめましての
女の子であり、男の子である
太陽でピンボールをする
楽しそうな笑い声が聞こえてくる

splash

飛沫は布のように幾層もの
感情を重ね合わせて
何億光年先からのメッセージか
滑らかで激しい言葉なき声
君は裸足で尖ったガラスを踏む
そうゆう危なっかしいところが愛おしい

sunset

ラウドスピーカーから子守歌
不安と諦めが混じり合う時間帯
散らばった夕焼け小焼け
手を繋いで家に帰っていく
君に話していないことまだあったかな
一番星が煌めき始めた

monochrome

満月が浮かんでいるときだけ
映し出される光の道に
全ての思い出がモノクロームに染まる
静謐な火傷を置いてきぼりにして
本を閉じる、その重さの分だけ歩もう
きっと向こう側で誰かが笑っている

*今回はpittanymphaさんが撮影した写真とのコラボ作品です。様々な海の表情に詩を付けさせて頂きました。まるで旅に出たような気持ちで書けました。とても楽しかったです!下記のQRコードからpittanymphaさんのInstagramを見ることが出来ます。素敵な写真がたくさんあります。是非、ご覧ください。

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Mei&Me(原題:僕と笠原メイ)
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