【詩】飛空艇乗り

赤い飛行艇が一隻
アドリア海からミラノまで
手紙を運ぶ仕事をしている
ふるさとに残した母親は
彼が飛ぶことを反対している
でも血気盛んな若者だから
空賊を相手にドッグファイトを
交わすこともあるし
空軍に目をつけられているけど
お構いなしに自由にやってる
或いは彼は風ではなく
血で飛んでいるのかもしれない
花柄のシャツに
ライムを垂らしたビール
酒場で歌うシーナ
そのメロディが耳から離れない
彼女が恋をすると
その相手は死ぬと言う噂だ
でも誰もがぞっこんになる
彼もそのうちの一人だ
酒場に行くたびに
空から盗んだ星のかけらや
太陽の香りをシーナにプレゼントする
「薔薇の花束よりも素敵だわ」って
瞳孔を広げて喜んでくれるけど
いつか私も飛行艇に乗せてという
わがままだけは聞けない
死と隣り合わせの生き方だから
無茶を言うなよって
手の甲にそっとキスをする

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