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東洋医学講座 263

〇脾系統について

脾は大きくは肌肉全体の人体をいい、主部的には脾・膵の働きで、飲食の五味を消化・吸収・貯留・配分など五味の化生とそのコントロールを成し、五臓の気をはじめ全身を養っています。すなわち、脾は五味を化生させ、栄養源を生成配分させている器官であります。

口に入った五味飲食物は、咬筋に咀嚼され唾液と混じりながら、咽喉・食道の蠕動運動によって胃に送られます。

胃では胃液と混じりながら胃化蠕動を成し、粥汁は小腸に送られます。

脾に入った胃気は脾気となり、それが原気として各臓にめぐり、各臓の原気となります。それぞれの臓に入った原気は、各々の本気とまじわって五原気となり、体の原動力となります。

一方、粥汁は小腸でさらに消化・吸収され、栄養素は肝に、食粕は大腸に送られます。この小腸蠕動によって腸気が発生し、これは心気を補う力になります。また、大蠕動による発熱、静脈還元などの働きも起こします。

肝に入った栄養は肝化され、静脈を通って心に送られ、さらにそれが肺に入って肺化され、心に送り返されて各細胞に送られます。

大腸に送られた食粕は、さらに水分と粕に分けられて、水分は膀胱に、粕は便として排泄されます。ただし、分離・消化・吸収されるときの化学的変化によって、気化された大腸の気は肺を補う気として働きます。

脾は、中央に位し八方に栄気を送り、五臓・四肢・体幹の全身を営々しています。手足の中央には、三焦・心包・脾・胃の経が走って、他経の基体となっています。

「脾病は、全身だるく、四肢動かし難し。胃に津液送れず、四肢に病変起こる」と古人はいっています。すなわち、脾の働きは、全身に関与し、とくに四肢に関連していることを説き、一方、胃と同体になっていることを示しています。

またこのことから察して、脾と腎は密接な夫婦拮抗関係にあるので、脾病を患うということは、腎系も剋傷され、脾と共に腎系も機能低下しています。

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