東洋医学講座 77
〇旺相死囚休の成り立ち
▽旺相死囚休とは
「旺相死囚休」とは、五行相互関係における生成、発展、安定、停滞、衰退作用を理解しやすく表そうとしたものであります。これは地球が23.5度傾きながら自転し、さらに太陽を中心に公転することによって発展される、五気・五臓の衰退を説いている符号であります。
木気を例にとってみれば、春期、夏期、土用期、秋期、冬期の五気における木気の働きの盛衰状態を表したものであります。
また、天道によって成り立っている人道においても同一で、その理を生体の生理状態に置き変えてみますと、春期の肝生理状態と、夏期の肝生理状態、秋期の肝生理状態、冬期の肝生理状態と、その季節により、また時刻によって、五臓をはじめとした経絡などが各々みな異なった働きを成しています。
この盛衰作用を、旺相死囚休のよって示そうとしているのであります。
▽旺相死囚休の符号について①
≪旺≫
王様のように勢いが盛んなこと。
〔例〕木気ー春に旺(さか)んとなり
火気ー夏に旺んとなり
土気ー土用に旺んとなり
金気ー秋に旺んとなり
水気―冬に旺んとなり
人の生活状態を例にとれば、厨房ではコックが帝王のように中心者となって、その持てる能力を発揮しますし、船上では船長がその帝王、機関長が相で、その他が死囚休の役割を成して、船は洋行します。また、飛行中の機内でいえば、機長が帝王、パイロットが相、客室乗務員が囚、客が死で、整備士が休であります。
このように、旺気に当たっているときは、他から剋制される五行関係にあっても、その剋気の制御を受けないのであります。
例えば、火と水の場合、同じ条件では、火が水に剋制されて水の支配を受けますが、火の勢いが盛んなときには、衰の状態におかれている弱い水力では、旺火である大火を剋制することはできません。
このように、時を得て盛んな状態を〝旺〟といいます。
≪相≫
王の引き立てによって力を発揮し、また、王を助けて王の次に勢いの盛んなこと。
〔例〕春―火が相
夏ー土が相
土用―金が相
秋―水が相
冬ー木が相
相は〝祐(たす)ける〟の意で、時の旺を助けて、その身を伸ばすことであります。木気は、冬期に芽ばえ、冬の進行の一助となり、冬の進行によりわが身を伸ばすのであります。
〔例〕春によって夏が育まれ、夏は春を相(たす)ける。
夏によって土用が育まれ、土用は夏を相ける。
土用によって秋が育まれ、秋は土用を相ける。
秋によって冬が育まれ、冬は秋を相ける。
冬によって春が育まれ、春は冬を相ける。