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東洋医学講座 204

〇心と喜

▽心臓と喜悦について

▼五志とは

五志の関係、心臓と喜びについて考えます。

五志の〝志〟とは人心の働きのことであります。五志とは、怒り、喜び、思い憂う、悲しみ、恐れ驚く、ことをいいます。五臓の精神的変動がこのように現れます。

怒りは肝から発します。肝が一時的に亢進しますと、イライラして怒りっぽくなります。イライラ、焦り、怒鳴る、ヒステリックなど、怒りの状態に関係あるものと、ケイレンなども全部肝の作用に入ります。

つまり肝なら、肝の働きという一つの働きが、心に働いている面や体に働く面、病症で働いている面と、見えるところは異なりますが、働きの面は同じであります。それが真理は一つということであります。

肝が心に働けば、〝やってやろうとする〟奮い立つ精神になり、それらが凝集して一点に絞られると、怒りの心情となります。走ろうとする感情も走るという動きも、働きのもとは肝であります。

喜悦とは、いわゆる喜びですが、喜は表面的な喜び、悦は心の中の喜びといえます。やはり、陰と陽があるわけであります。笑いも喜びの一つの表現、心動の亢進であります。心系の正常な働きは血液循環であり、喜悦は一過性に心系が働き、亢進して血の流れが変わります。それが続くと心臓に変動が起こります。心臓の弱い人は、笑えるまでの心力がないために笑えなくなります。しかし、そういう人こそ笑いが必要であります。笑いは、心力の弱い人には鼓舞作用となるからです。

思慮とは、思い悩む、考え込むことです。あまり考え込むと、消化力が停滞します。消化の働きが落ちるからです。

悲しみは、気のめぐりを渋滞させます。悲観が大きいと、血と気が凝結して、うっ滞が起こり、肺系統の機能を低下させます。

恐驚はおどおどすることで、緊張状態が続くと、身が固くなり、小心になります。腎の弱い人は小心になり、消極的になります。腎は固める働きをして、身体がしめつけられ、気が外へ発揚できないからです。このような状態が続くと、腎機能が低下します。

このように全て相関関係になっています。病気は各臓の低下の結果であって、心臓が亢進する病気で、ゲラゲラ笑ってばかりいるのが気狂いであります。心臓が亢進しすぎて、心臓の変動がそのようにさせます。

現代医学では、精神病を身体はどこも悪くなく、脳だけが変であるとみますが、それだけでは異なります。心臓系が亢進して精神病になったもの、肝系が亢進しているもの、脾が亢進しているもの、というように色々もとになっている悪い臓器系があるからであります。それゆえ、精神病はそれぞれ、そのもとの臓器系の力のバランスの違いによるものであります。これらを治すためには、その悪い臓器系を知る必要があります。

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