東洋医学講座 232
〇心と丙丁・巳午
▽丙丁・巳午の働き
十干の丙丁、十二支の巳午は、いずれも南に位置しています。そして、火気に属し、夏気・火気・昼気を現す符号で、この大気にあいますと、心気が旺んになります。
では、この丙丁がわれわれの生活や生体にどのように使われているかを考えます。
われわれの日常は、秒→分→時→日→月→年・・・・というように、時間の輪にかみ合った輪廻の中にあります。つまり24時という時間の回転があり、時間の回転が一まわりすると一日、一日に回転が365回すると一年、それが60回すると大きな一年があるというように、永遠に輪廻しています。また、細かい方向の回転も限りなく、末梢細胞的な回転が連綿として続いています。
これを全て調べるとなりますと、大変な数字で、複雑な考え方をしなければならないので、もっとわかりやすいように統一符号をつけられています。例えば、己未年の庚申の日の丙午の刻といったように、公転や自転、月のめぐりを分かりやすくしようとしています。
年についていえば、令和5年は癸卯であり、これは年符号なので一年間は癸と卯の働きがかみ合いながら成されるわけであります。
例えば、昭和54年は己未の年で、未は土星であり、丁火と乙木と己土の三つの働き、三合性や方向性の働きをもっています。そのような素質を持った土性なので、他の土、つまり戌の土、丑の土、辰の土とは異なる性質をもっています。要するに、火気と木気を持っているということであります。
土の年で一番楽に過ごせるのは、心旺タイプの人です。心旺タイプの人は、土気の年がめぐってくると脾臓系がよく働くので楽に過ごせるのであります。
これは人体面について見ていますが、運気についても同じことがいえます。つまり、土の年には、先天的に火系の人は運気が良いとか、水系の人は土剋水で、体も運気もよくないというように、先天も後天も一緒になって影響されます。
▽丙・丁はともに〝壮(さかん)〟なこと
丁とは壮(さかん)という意味です。昔は壮丁検査といって、若くて盛んな人を軍人に引き上げるための検査をしました。体が成熟したかどうかを見ていました。
また、丁は園丁や馬丁と使われるように、働き手、司るという意味などがあります。
したがって、壮丁とは今の言葉でいえば成人ということになります。いずれにしろ、壮(さかん)という意味であります。
丙は、繁茂・盛壮の域に達するという意味で、これも盛んなことを意味しています。
丁の壮(さかん)は、その力を100パーセント発揮していない、まだ陰気が少し混入している盛んです。丙の方はその力を全部外へ表現している盛んであります。