東洋医学講座 313
脾系統の病理と実邪
脾虚の場合
脾虚の場合の症状を説明します。
①四肢が動かしづらくなるのは体力が低下しているためで、全体が動かしづらくなるということであります。
②嘔吐するのは、虚証タイプの人の場合、体力がないのでどのように逃げよう、守ろうという姿勢になりやすいためです。力があるものは、邪に対して向かっていこうとしますが、虚の場合は、内を守ろうとする力が働きます。そこで外に排泄することにより体を守ります。
③腸が鳴るのは、腸は火力発電源なので、熱源が不足すると冷えます、冷えが入った場合には温めようとする働きが生じ、腸が鳴ります。音が発生するのは、陰と陽がぶつかり合ったときに発生します。
④倦怠して寝ることを好むのは、寝るのは腎の作用なので、脾が虚すと脾剋腎の統制が外れて、腎がより旺盛になります。したがって、その腎は寝るという状態によって旺盛に力が発揮されるので、寝ることを好みます。
以上、虚実の症状を述べてきましたが、脾に実邪がある場合には瀉し、虚邪がある場合は補すというのが治療原則です。
※下肢や下腹が冷えて、顔面が赤色であるのは、下虚上実といい、虚は冷えがあることを、実は熱がある状態を意味しています。体を上下に分けますと、下半身が冷えて上半身が熱している状態で、冷熱のバランスがとれていません。下虚上実といっても、下虚と上実の違いで症状は様々あります。