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東洋医学講座 304
脾と湿
1年における五気を土性に配当すれば、湿がそれに当たります。1年では長夏に当たり、夏の熱気を受けて地上の万物が水気を蒸発し、大気中に湿気を含み、湿性の大気となります。適湿はよいですが、過湿は脾体を傷つけます。
大地においても湿土は適湿な土であります。そして、万物を養育し、燥土は無湿な土であり、万物が枯れてしまいます。泥土は過湿な土で、万物が養育できません。
脾体も同じように潤湿を好み、過・不及を憎みます。
脾土 100
| 好拮抗
腎水 100
(このバランスが崩れると、水毒・消化不全が起こる)
脾土 50
| 水毒
腎水 150
脾土 150
| 消化吸収不能
腎水 50
〈脾体のバランス〉
火
100
木100 脾 金80
水
50
脾質― 粘土質・・・燥・湿
砂土質・・・燥
砂利質・・・燥
岩質 ・・・燥・湿
荒土質・・・湿
悪土質・・・湿
脾体は、陰陽のバランスによって水質になったり、火質となったりします。
水気と五臓の拮抗
夏の土用が1年中で一番蒸し暑い時期ですが、それは夏の太陽の熱気を受けて、地上の万物が水気を蒸発させるために、空気中の水気が多くなるからです。この湿度も適湿であれば、空気も晴れやかでよく、また、適湿な土は潤いがあり、この潤土は生物を養い育てます。
人体においても同じことがいえます。適当な水分があれば、水は腎なので、脾と腎の拮抗バランスが保たれ、体調がいいわけであります。脾の力が落ちてくると、腎水との拮抗が崩れ、脾の力である、めぐらせる働きが低下すれば、腎水が氾濫して水毒という必要以上の水分が溜まる結果となります。
逆に、腎の力が落ちてくると、心火が亢進して脾体は燥土となり、体が煩(はん)し、水液が枯れるので生命現象が危ぶまれてきます。土の中に水分の潤いがなければ、物は育たないのと同じです。腎の力がなく脾力が大きくなった場合は、消化・吸収に問題が生じます・消化・吸収不全が続けば、肉体保持ということも困難となりますので、腎と脾の関係は深く、また重要であるといえます。
すなわち、湿とは気発された水気のことで、大気中では湿気を含んだ空気です。地中では土中に含まれる水気をいい、人体では脾体における腎水の働きです。以上から脾と湿は深い関連を持っていることが分かります。