東洋医学講座 114
▽『東医宝鑑』にみる爪の見方
『東医宝鑑』に「爪甲白きものは治せず」とありますが、ここでいう「白」とは、肺の色をさします。したがって、爪が白いということは、肺機能が亢進しているので、金剋木で肝臓に問題が起こります。ここでは肺の剋作用が強くなっていることを示しています。だいたい肺機能が亢進している人は、耳が白くなります。耳が白いのは、耳は腎が司るので、肺の力が腎に影響しているということです。耳が白いうちはいいのですが、爪が白くなるのは、それが肝にまで及んでいる証拠です。こうなると肺・腎・肝の三臓がおかされていることになり重症です。したがって「治せず、治りにくい」といっています。
「手足の爪甲背の青黒きは八日を過ぎて医し難し」という言葉は、その中には旺相死囚休の考え方が入っていると思われます。ここでいう八日を、甲乙丙丁戊己庚とみると、ちょうど庚辛(かのえかのと)の日に当たります。金の日なので、金剋木ということで医し難しといっているのでしょう。医とは治療をさしています。
肝臓が発症するのは甲乙の日で、庚辛の日に悪化します。八日という意味がこれで分かるかと思います。
青は肝の働き、黒は腎の働きを示します。したがって肝臓の働きが絶し、もう死ぬということです。
「病人の爪甲青きものは死す」とは、前の段階からさらに進んだことを意味します。おそらくここで「青き」といっているのは鮮明で濃い青ということなのでしょう。肝が最高度に亢進している証拠です。急性肝炎にかかったときのように、急性に肝力に負担がかかった場合に出る色です。
肝力に力がなく、急に亢進させられると肝力は急に落ちます。そうしますと、心臓に負担がかかってきます。そのようなときに心臓に力がなければ急死することがあります。このように急死する人には、肝臓から心臓にくる場合が多いのです。
そして「爪甲下」とは爪甲根部のことなので、爪の根元の肉の黒きものは八日で死ぬということです。根元が死んでいては当然です。黒は腎で、腎は命力を司っているからです。
爪についての研究は、古代から盛んに行われてきましたが、近年では、ドイツで割と盛んに研究されており、就職試験時にとりいられることもあるそうです。
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