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東洋医学講座 347

肺と辛味

辛味の相生・相剋

金と水、金と木は相剋関係にあります。火剋金の順剋の関係では、少しの力の差でも剋を生じやすく、剋を受けた金はバランスを崩して金剋木となります。また、肺金が旺盛に過ぎると逆剋となり、金剋火となります。相生の母子関係でも、バランスを崩しすぎると相剋になります。「腎弱くして冬に辛味すぎると腎炎になる」というように、辛金に腎水が冒されて相剋が生じます。

要するに、小さい器に大きな力が詰め込まれると問題が生じます。相生関係でも、力の差が大き過ぎたり、条件に合わなかったりすると相剋になります。時宜を得るかどうかは、旺相死囚休の問題です。すなわち、母子の相生関係では、時宜を得られればバランスは保たれますが、時宜を得られなければ相剋になりやすくなります。しかし、時宜を得ても程度を越すとバランスは崩れます。例えば、草木の芽は、春の旺期には多少のことがあっても芽を出しますが、秋の収斂・凝結の期には力を発揮できません。


図は「腎弱くして」の一例です。腎が弱く他臓よりもマイナス30の負担があることを示します。このように、腎が弱っている人が冬にあうと、冬は腎が旺盛になる時期であり、他の臓器よりも働かなければいけません。平常時でも他臓よりもマイナス30の力があり、その上にさらに働かなければならないため非常に負担がかかり、力としては50からさらに下がって30くらいに弱まります。そこに加えて辛味を摂ると、プラス金気が作用し肺気は上昇して80から一過性に160の力となります。普通なら金生水と相生の関係になるのが力差が160対30で金剋水の剋現象となり、一層腎を傷めることになります。腎盂炎の人が辛味のものを食べると、すぐに病状が悪化するのはこのためです。

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