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東洋医学講座 272

〇脾と胃

▽脾と胃の関係と働き

▼脾と胃は兄妹関係

脾と胃は〝倉廩の官〟であるといわれていて、倉廩(そうりん)とは食料を入れる倉のことで、栄養系統を司るところであります。そして、胃は食物を化生し、脾はそれを各臓器組織に分配し、三焦の働きを司っています。脾・胃は土系なので、五臓のバックボーンとなって五臓の気を養っています。

『黄帝内経』では、六腑を倉廩の本としています。六腑を木火土金水に割りますと、木は胆のう、火は小腸、土は胃、金は大腸、水が膀胱と配分されます。ただ、前者四腑は消化管なので、膀胱を消化器官と考えることに、少し説明を加えなければいけません。飲食は全て口を通して入りますが、膀胱はその水分を溜める袋なので、消化官の一部と見てもさしつかえないと考えます。

実際に膀胱の働きを考えますと、位置的には小腸の近くにあって、その小腸の発熱作用によって膀胱内の水分を蒸発・気化させてエネルギーを生じ、そのエネルギーがまた消化・吸収作用を助けていると考えます。

時間的には、心とともに昼間を中心にエネルギーの一番必要とする時間帯に働いていることからも、脾を助けていると言え、消化官とすることがうなずけるかと思います。

そして、六腑で生じた気は脾の助けによって、全身の器官に送られ、脾は人体における中心的位置を占め、全身を栄養していくものであるといえます。また、『素問』に「四肢は胃の気を受ける」とありますが、これもうなずけます。なぜならば、胃の気は動気のもとであり、その胃気を受けた肉体で最も動的な表現しうるところが手足であります。いわば、脾・胃は四肢の根であります。四肢がだるくなるのは、脾・胃機能低下が先ず考えられます。ものを食べないと、胃気が生まれず〝胃気消沈〟し、やる気がでなくなってしまいます。

もちろん、胃の気は全身に受けていますが、『素問』では、脾を病めば、胃腸が化成した精気を四肢に送ることが出来ず、胃腸を病めば、〝胃気〟が上がらず、消化も不十分となるとし、脾・胃はいわば兄妹関係のように協力し合っていることを説明しています。

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