東洋医学講座 233
〇心と離
離とは易象、小成八卦の一つで、天地現象によってつくられた火象を代表する易符号であります。これは全ての光熱、またはその働きを現します。人体では心臓系をはじめ、熱に関連しています。
離には、つく、はなれる、見る、知る、明るい、熱い、焼くの意があり、陽遁から離れて陰遁につく、「つく」と「はなれる」の二面の意をもちます。
生まれ星が火星の人や心旺タイプの人は、人とよく交わるが、すぐに飽きがきて、深い交際は長く続きません。したがって、たまに会う生き方がよいとされています。
▽〝離〟の働きについて
離とは、易経の易象の小成八卦の名前であります。そして、火の性、火の意味を持っています。九星では、九紫火星にあたり、光熱を中心とした働きをもっています。
光が輝いて明るいという面から、明るいとか、明るいから見える、知らなかったものを知る、という意味があります。「見る、知る、明るい、熱い、焼く‥‥」という火の働きを示す符号です。
離は一年でいえば夏、一日では昼の働きです。離の字意は、着く、離れるという距離を示す場合に使われる離で、A点からB点までの移行、つまりA点から離れるとB点に着く働きで、自然運行からは陽遁が終わって陰遁に着く境目にあります。
ここで知っていただきたいのは、陽から陰に着く働きといっても、着くことは離れることを意味し、また反対に離れることは着くことを意味しています。したがって、着くということは、そこにずっと着いているのではなく、またどこかへ離れていくという働きをもっています。
火は燃えます。燃えつきるとまた次に燃え移り、動きます。そのようなところから移る、動くという性質を見ています。
太陽もわれわれを中心に見ていきますと、東の空に太陽が着いて、西の空に去って、われわれから離れていく、というように着いて離れる働きがあります。
人の性格でいえば、火性の大気を吸って生成された人は、火星の人といい、火気の性格をもち、外へ自分の力を表現しようとする働きがあります。したがって、交際などでは表現的な遠心作用が働いて、人とよく交わるのですが、飽きやすく、他の人に比べて深い交際ができません。人に着いて離れるという具合です。
もし、火星の人と深い交際をしたいとしたら、常に会うのではなく、たまに会いながら、ずっと深さを保つようにすればよいということになります。先天的にも後天的にも、火気を多く持っている妻は、結婚しても一日中夫と顔を合わせていると嫌になってくるものです。
人体でいえば、脾は心臓に当たり、心臓は体温発熱作用と体温放熱作用の二面があります。また、心臓が働かなければ体温は落ち、体が冷えてくることからも、火と心は同一の働きであることが分かります。
また、熱を含んだ血液が心臓を離れて細胞組織の末端につき、静脈を通って末梢から離れて心臓に着くというように、火の働きは、熱を発しながら離れたり着いたりしています。
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