ヴァーツラフ・ハヴェル(資料4)
さて、英国の次に訪れたのは、フランスだ。なんとかフランスの元首モノを探したが、見当たらなかった。唯一ナポレオンの像を見つけたのだが、どこかの段階で壊してしまう。一応、首だけコレクションとして残っている。
その後、ベルギー、オランダ、ドイツと絵葉書程度の元首モノしか手に入らず、コレクションを増やすという目的が、微妙に盛り上がらなかった。そんな中、チェコで出会ったのが本屋(あるいは文房具店)で販売していたヴァーツラフ・ハヴェル大統領の中くらいの肖像画ポスターだ。これを購入出来たことで元首モノ熱が再燃したのは、言うまでもない。私の中のエンスーを再び燃え上がらせた中興の祖ともいえる元首モノなので、資料4の名前は4カ国をすっ飛ばして彼に授けた。
ちなみに、この「エンスー」という言葉は、資料3でも書いた元ルームメイトOさんが良く使っていたので、今思い出して使った。ついでに調べてみたら、自動車好きではよく使われている言葉だと今知り、無類の自動車好きのOさんが使っていたことに今納得した。記憶の掘り起こしは面白い。
GM0018:ヴァーツラフ・ハヴェル(ポスター、1994年)
欧州数カ国を巡った後、手に入れた本格的な元首モノで、前回のシベリア鉄道旅行のあと初めてエンスー魂を揺さぶられた一品。彼は、独裁者でも王室のものでもない、かなりリベラルで民主的な人ということで、元首モノの中でもかなり観念的価値の高い代物である。文房具店で売っているという点でも、本国では、当時かなり庶民的に活用されている元首モノだったに違いない。ただ、庶民的なため、紙の素材が悪い。普通のポスターのように丸めるとグチャグチャになってしまうし、綺麗に曲げずに残りの旅1ヶ月以上を旅するのは不可能だ。当時の私は、泣いて馬謖を切り、真ん中で折り曲げてバックパックに入れるという大技に出た。顔の真ん中に線が入っているのは、そのためである。
GM0019:ナポレオン・ボナパルト(破損した首のみの彫像、1994年)
普通の土産店で購入。ただの土産物だし、かなり過去の人物なので、外国人向け観光土産のたぐいだと価値を見出すことが出来なかった。そのため、本国で購入した元首(しかも皇帝!)にもかかわらず、ぞんざいに扱っていたら、どこかの段階で大破してしまった。胴体は、かなり崩れてしまったので、捨ててしまい、首だけ取ってあるが鼻も折れている。今となってはもったいないことをしたなと思って後悔している。
GM0020:ベアトリクス女王と夫(絵葉書、1994年)
オランダに訪れた理由は言わずもがなで、米国の学生が訪れる理由と一緒である。そのため、それほど観光に興味がなかった。街にはその手の観光グッズに溢れており、そうした緑色の絵葉書に溢れていた。しかし、その中には、当時のオランダの女王ベアトリクスの絵葉書も販売。王宮にもあまり興味を示せず訪れた記憶がない。(入り方が分からなかった?)
GM0020a:ベアトリクス女王と夫(絵葉書、1994年)
こちらは、同じ時期にヨーロッパを旅行していて友人からの手紙。この時期、私がこういうものを集めていたのを皆、知っているため、この仲の良い友人Rは、このように元首モノの絵葉書を送ってくれていた。
このように文章が書かれた元首モノは、いくつか存在する。ニューヨーク時代には、数人からこのような形で贈答された絵葉書があるのだ。(この手紙は今日まで忘れていたw)
GM0021:ボードゥアン1世と妻(絵葉書、1994年)
パリからアムステルダムに夜行で一気に抜けたので、ベルギーをすっとばしていた。アムステルダムは、2泊していたのだがあまり面白くなかったので、翌日はブリュッセルまで日帰りで行ってみた。日曜だったので、観光地以外は閑散としていたのを覚えている。しょんべん小僧にビックリさせられた以外は、広場がキレイくらいの印象しかない。この絵葉書をここで買ったのか、あまり覚えていない。今回、人物を調べたら訪れた前年に亡くなったボードゥアン1世とその王妃の写真だった。まだ新しい王様の絵葉書は、販売していなかったのだろうか?
GM0022:ドイツの歴史パンフレット(パンフレット、1994年)
ドイツは、当然ヒトラーは売ってないのは分かっていたが、ビスマルクくらいあったらイイなと思っていた。しかし、先進国の最先端的な国なので、元首モノを販売しているわけがないのである。まだ、ドイツが統一して間もない時期でもあり、ベルリンに首都機能が移転中の時期とあって国会議事堂をそんな時期に訪れることが出来たのは感動した。
そこで手に入れたドイツの歴史のパンフレットにビスマルクや歴代首相などが掲載されているので、これを元首モノと認定した。
パンフレットを広げると縦に長いことから、他の元首モノでは見られない、縦長な形状のため、ギャラリー展覧会時に壁の隙間を埋めるのに役立っており、展示に困った時の立役者的存在である。そのため、痛みも多い。
GM0022a:ベルリンの壁本(本、1994年)
ベルリンは、子供の時からのあこがれの街で、ずうっと行って見たかった街だった。それは、世界でも類をみない東西ベルリンという特殊な街だったからだ。色々な本で、チェックポイントチャーリーの写真や記事などを目にして、行ってみたいあこがれの場所だった。しかし、統一から数年経ってしまったため、周囲の壁はなく空き地のような空間にチェックポイントチャーリー跡があり、観光地っぽい様子に少し幻滅したのを覚えている。その土産店で購入した本がこれだ。あまり元首モノとは言い難いが、プロパガンダグッズには違いないので、展覧会ではいつもそっと展示の隙に忍ばせている。子供時代からの壁に対する思い入れからだろう。
このオランダのアムステルダムからチェコのプラハまでは、見るものすべてが美しく、ヨーロッパの文化に浸って楽しみながら旅行出来ていた。多分、2週間くらいが経っていたと思う。しかし、この先の国々を訪れる上でビザが必要な国が増えてくる。そういうこともあってか、旅のテーマがあまりない、この時の私は、旅にマンネリ化を感じ始めるようになっていた。プラハで出会ったヴァーツラフ・ハベル氏は、元首モノにとっても、この時の旅にとっても、気分を変えてくれた偉大な肖像画と言えるのである。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?