「シビル・ウォー アメリカ最後の日」戦闘シーン雑記

映画本編の感想はこちら
この記事では少ないながらも非常に引き込みのあった銃撃戦シーンで個人的に刺さった部分とかをとりあえず吐き出していくところ。
作品のメッセージ性とかぶん投げて、とりあえず好きなところを書きます。

戦争映画としてのアクション

 本編記事の通り、戦闘シーンは割合としては少ないものの、その分非常に盛り上がりと迫力のある場面に仕上がっている。
 特に音がすごい。銃声や爆発音は爆音、本当に近くで銃を撃っているような轟音が響く。パンフレットによれば「できるだけ空砲を使った」とのことで、使用銃器や口径によって音が明らかに違う場面もあったのがすごいこだわりだったとも言える。(もっとも、AR-15系列の銃が多数を占めていたのではあるが)

民兵勢力編

 初めて行われる銃撃戦としては恐らくこの部分だろう。廃墟で西側勢力(WF)私服プレキャリ勢と正規軍が戦っているところで、1人が柱に集中砲火を受けて孤立している状況の場面。銃声がマジで怖い。こっちも撃たれているような気分になる音の仕方。 慌てて投げて変なところに展開されるスモークとかも状況が緊迫している様子が伝わってくる。
 結局隠れていた1人は撃たれてしまうが、その応急処置もまんま写していたのが印象的だった。脱がせて血が吹き出す傷口にガーゼを押し込みつつ……というさりげないところだが、意外にこの応急処置はなかなか映画では見られない感じがする。その場面を撮る意図があることも含めて、現代戦のあり方を垣間見たような感じもできる。

シャーロッツビル

 赤メガネおじさんからの決死の逃亡を経てたどり着いた、シャーロッツビルのWF拠点。ヘリも戦車もなんでもござれの最前線拠点で、今ここからワシントンに進軍せんとする一団の待機所でもある。
 俯瞰で始まるこの部分は壮観で、進撃を続けるWFの物量が見て取れる。大量に駐機するCH-47が物資や兵器を運んでいく。輸送用に装甲車にフックを掛ける動作が、地味だがかなり好きな部分。フックよーし!せーの飛び降り!みたいなタイミング合わせの仕草も良き。

ワシントン市街地戦

 所変わって今回のワシントンDC戦、主人公視点からすると守るべきところではなく攻め入るところ。街の様相はまさに首都決戦で、各所には家具や瓦礫で作ったバリケードや、点在するビル群には銃座や陣地が構築され、まるで現代の先進国都市とは思えない惨状が広がっている。
 IFVからぞろぞろと降車し、ハンヴィーが包囲するリンカーン記念館。積み上げられた土嚢と、屋根上に設けられた大光量の投光器が歴史的な文化遺産が迎撃陣地に変えてしまい、その変わり果てた姿がシュパーッと撃ち込まれるジャベリンによって容赦なく粉砕されていくのはたまらないカタルシスだった。
(どうでもいいけどここのジャベリンの弾頭部分がやたら滑らかでCGっぽさが隠しきれてなかったような印象)

 ひとつホワイトハウスを眺めることができるビルへ登る、迫撃砲やスナイパーチームがあったが、そのときにはしごを登りつつハンドガンで警戒する姿がちょっとたまらなかった。たまに見えるハンドガンの見せ場が光っている。

ホワイトハウス戦

 ホワイトハウスの周囲はコンクリート壁で囲われ、要塞化されており、そのコンクリート壁もかなり立派なものがある。各入口には銃座と厳重な門まで設置がされていて、かつての開放的なホワイトハウスの景観はなくなってしまっている。まさに平和的な余裕というものはなくなり、攻撃に怯える独裁者の居城である。このレベルの防護壁がどれだけの工数日程を要するのかは知らないが「ワシントンに敵が迫っている」という恐れを以て作ったには違いない。
 ただし、ホワイトハウス周辺ではすでにハンヴィー部隊や戦車などがすでに到達しつつあり、隣接するビルの屋上には迫撃砲やスナイパーチームが展開し始めている。強固な壁は健在なれど、それを見越す周囲のビル群に展開されるとかなり厳しい状況である。事実、門を通り越して壁内への攻撃は行えてしまっていた。
 対して突破を試みる正面組は、小規模ながら対戦車火器と機銃座を備えた陣地塔に足止めをくらい、一進一退の攻防を繰り広げている。まさに眼の前ながらも土嚢とタワー陣地の攻防は銃声と爆発音が響くほどに激しかった。

 あと自分は気づかなかったが、どうやらあの場面では警察車両も(廃車で)止まっており、地元警察も抵抗に参戦していた様子。

ビースト脱出戦

 陣地が突破されると大統領専用車のビーストが脱出を試みる。大統領戦闘のカスタム車ということもあり、歩兵のM4系はもちろん戦車の同軸機銃やハンヴィーの車載機銃の攻撃も諸共しない頑丈さがあらわれており、逃げるハラハラ感がすごい。だがもともとSPと脱出するところを見られていた分構えができていたのか、先頭車2両の捨て身の足止めも敵わず、突っ込んできたハンヴィーと戦車の間に挟み込まれてしまい、流石にビーストも動きが止まってしまう。

 正直、ここからはホワイトハウス側の方が好きだったりする。防弾チョッキやライフルなんかの高火力の武器があるわけでもない完全な劣勢の中、特に囮ともなればほぼ必死であろう中で、VIPを守ろうと健気に抵抗するのである。特に完全に囲まれたVIP搭乗車のSPは少しでも隙を作ろうとしたのか拳銃一丁で車外に抵抗しようとするが、投降する高官共々容赦なく撃ち殺されていった。
 直前のキャリバーの撃ち込みといい、このノータイムっぷりといい、大統領絶対殺すマンな意思があって非常に怖いシーンでもある。

ホワイトハウス籠城戦

 リーの直感で、大統領がホワイトハウス内に残っていることを感じ取り、ついてきた海兵隊一個分隊とともに内部へ入っていく。
 ホワイトハウス内は無惨で、スタッフが自殺した後さえ転がっている。絢爛な内装に似合わない、乱雑に重ね並べられた食器類(しかも多分非常用食料とかレーション系の簡素なやつ)、代わりに多数の軍事物資箱や無線機器などが広げられていた。特殊なケースっぽいのはSP用の武器ケースだろうか?ここまで追い詰められ、崩れ落ちた光景というのは非常に良いカタルシス栄養素だった。
 正直、ここの部分は非常に妄想が捗るところである。SP達が圧倒的不利な状況でここまでこの大統領に殉じれたのは、SPという職務的意識かそれとも大統領に狂信していたのか……どちらにしても、あの広場で繰り広げられた籠城や脱出の準備や、ワシントン陥落までの館内の様子など、絶望的にしても想像のしがいがあるところだ。
 
 大統領はプレスルームでは報道官?が大統領助命を交渉するも決裂、撃ち殺される。本当に政府関係者は容赦なくやっていくスタイルなレベルまでに亀裂が走っている。
 このあたりの戦闘でも多くの部屋をクリアリングしたり、MP5を手繰るSPを難なく処していく海兵隊員の迫力がすごい。パンフレット曰くあの手順は演者の元海兵隊員の動きそのものだというが、動きの正確さはともかく迫力と映像に映えている場面であるのは確かだった。
 強いて言えば、字幕版でのスタングレネードを「手榴弾」としていたのがちょっと違和感だったか。


首都が落ちるというカタルシスあふれるラストシーン

 この映画の銃撃戦は、音と見せ方による迫力がすごいものだった。
 個人的にはやはり最後のワシントンDC戦、大変刺さるところであった。かつて「Call of Duty Modern Warfare 2」でのワシントン戦~ホワイトハウス奪還というストーリーキャンペーンがあり、米軍が劣勢の場面ではあるがそこに非常に惹かれていた。陥落する議事堂、制圧され敵軍の対空銃座が設けられ、記念塔は避難所に指定されるも陥落寸前だったりと非常に絶望的である。ただただ、その絶望的な戦闘を高所、あるいはヘリの移動で俯瞰しながら見れるのがすごく大好きなシーンである。
 あの栄光を誇ったアメリカが、その首都が、ホワイトハウスが、今や塹壕と有刺鉄線で囲まれた陣地とされ、ボロボロになっているその様が非常に好きだった(決して反米思想とかではなく)。そんな中で祖国のためにと戦う米軍プレイヤーとNPCの健闘具合にも燃えつつ、やはりやられていくその儚さが好きであった。
 対して今回のワシントン戦は、こちらが攻める側の立場でもある。そのため前述のCODとは逆の立場ではあるが、個人的には攻められるホワイトハウス側で見てしまう感覚も出てきてしまった。これはこのカタルシスな部分が好きなところに由来しているのかもしれない。元々旧劇エヴァのネルフ侵攻戦とか好きだし……。

以上、個人的なシビル・ウォーの戦闘シーン大好き語りでした。


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