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2回目のZOOM講義。対象は教員免許の取得をめざす通信教育課程の皆さん。

 先日、ある大学で教員免許の取得をめざしている通信教育課程の皆さん約70名を対象にZOOMで75分の講義を行いました。この大学での講義は、昨年12月に続いて2回目ですが、通信教育課程の皆さんを対象にするのは初めてでした。今回はブレイクアウトセッションではなく、Google Formsとチャット機能を活用して、受講者間がつながるように努めました。
 大学の担当者のサポートと受講者の真摯な学びに向かう態度のおかげで、ストレスなく講義を行うことができた。
 その講義について書かせていただきます。

▶︎通信教育課程の皆さんのイメージ
 通信教育課程の皆さんは仕事等をしながら学んでいるので、教員になりたいという意志がより強いのではないかと想像していました。事前に大学の担当者と行った打合せの際、この思いを伝えたところ、想像どおりでした。加えて、「時間をやりくりして受講しているので、いい加減な講義をすると苦情もくる。」と言われました。「準備をしっかりして臨まなければ」と強く思いました。
 講義の初めにGoogle Formsで、現在の「職業・勤務先等を教えてください。」と尋ねました。その結果は、次のグラフのとおりです。

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 私は、「学校」や「大学生」はもっと少なくて、学校以外で仕事をしている方が多いのではないかと予想していました。実際には、一番多かったのが「学校」で、二番目が「大学生」、三番目が「会社員」でした。「その他」としては、保育士や塾講師、学習指導員や学生サポーターなどの記載がありました。
 また、「めざしている校種」を尋ねると、小学校が半数近くでした。
 これらの結果から、講師として学校に勤務しながら他校種の教員免許(特に小学校)の取得をめざしている方が多いのではないかと思いました。

▶︎講義の目標
 さて、そのような方々を対象に講義をするわけですが、私の準備は、先に書いたとおり、学校以外で仕事をしている方が多いと予想してのものです。
 今回の講義の目標は、「自己実現への意志が固まり、課題解決への見通しがもてる。」としました。
 教員になるという意志が強くても、仕事や生活をしながら目標実現のために様々な困難を克服しなければならないということ。また、教員になった後も、続けるためには様々な困難を克服していかなければならないということ。そのためには、「なぜ、教員になりたいのか」という自分自身の思いを再確認するとともに、今抱えている不安を明らかにして自分自身の課題を自覚してほしい、さらに、課題解決へのヒントを見つけてほしいと考えました。
 このような私の思いを目標に込めました。
 講義では、少しでも受講者同士がつながり、受講者から学びや気付きを得てほしいと考え、冒頭にも書いたようにGoogle FormsとZOOMのチャット機能を活用することにしました。

▶︎教員への思いの再確認
 Google Formsで「どうして先生をめざすのですか?」と尋ねました。8つの選択肢を提示しました。その選択肢は、前回の学部生対象の講義のときに収集した志望動機を参考に作成しました。
 結果は次のグラフのとおりです。
 円グラフ右下の「19.4%」が「①先生への憧れ」で、そこから左回りに②③…⑧の順になっています。「⑧その他」が「9.7%」ありますが、具体的な記述はありませんでした。

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▶︎自身の課題の自覚
 次に、「教職への不安はありまか?」と尋ねました。8つの選択肢を提示しました。その選択肢は、昨年度の初任者研修での初任者とのかかわりなどから考えられる事項としました。
 結果は次のグラフのとおりです。
 今回も「⑧その他」の具体的な記述はありませんでした。

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▶︎課題解決に向けて
 そして、それらの「不安を解消するには?」と尋ね、受講者それぞれの考えをチャットに記入してもらいました。記入された内容をテキストマイニングした結果が、次の画像です。

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 記入後に発言を求めたところ、2名の方から発言がありました。1名の方は講師をされているようで、そこで悩んでいることのようでした。概要は、「全体の方針と矛盾する対応をする教員がいる。そのことに対して、どのように対応したらよいのか。」でした。私自身の校長としての経験からもそのようなことはあったこと、また、そのことに対して修正しきる対応ができなかったことを反省を交えて伝えました。

▶︎不安解消の4ステップ
 ここで、私の考えを提示しました。
①自分の課題を自覚する。
②課題解決の協力者を探す。
③勇気をもってチャレンジする。
④課題解決の方法を見直す。
 この4つは、社会科でいう課題解決的な学習、総合的な学習の時間でいう探究のプロセスをイメージしてまとめました。受講者も私も、こうした学習プロセスを経験したことがないので、自身の体験として、このように取り組むと課題が解決できたという達成感を味わってほしいとの思いからです。

▶︎まとめ
 そして、「自己実現に向けて粘り強く課題を克服する。」こと、そのためには「人とつながる。」こととして、講義の目標を再確認しながらまとめとしました。
 私は、課題を解決するには、「主体的」かつ「協働的」に取り組むことが重要だと考えています。このことも児童生徒に身に付けさせたいことであり、同時に私たちも身に付けなければならないことだと考えるからです。

▶︎振り返り
 最後に、次の3つの設問から、受講者に講義を振り返って気付きや新たな考えなどを確認してほしいと考えました。
①印象に残った「やりとり」は?
②印象に残った「ひと」は?
③今、考える「これから」は?

 ただ、①及び②については、今回の講義の展開から「無回答でもかまわない。」と付け加えましたが、想定を上まわる回答がありました。①「やりとり」についてはGoogle Formsの回答結果を共有したことやチャットで交流したこと、②「ひと」については全体の場面で発言してくれた2名の存在があったことが影響しているようです。さらに、③「これから」については、自身が考えるなりたい教員像に向けての現時点での決意が読み取れました。
 ③の内容をテキストマイニングした結果が、次の画像です。

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 事前には「準備をしっかりして」と思ったものの、準備完了の状態で当日が迎えられたわけではありません。冒頭でも書いたとおり、担当者のサポートと受講者の真摯な学び向かう態度のおかげで、私自身は充実感と達成感を得た自己満足の講義となりました。
 ここで収集した「教職への不安」や「自己実現への決意」などを踏まえて、本年度の初任の先生方に対応していきたいと思います。

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