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でらサイエンス 第9回:八丁味噌と焼肉の共通点~メイラード反応の謎を追え~
タイトル:八丁味噌と焼肉の共通点~メイラード反応の謎を追え~
テーマ:発酵と加熱という古の人の知恵
ろーぼーる:
アタシ、ろーぼーるちゃんやで。どえりゃあ楽しみやわ。
はいさんと一緒に「でらサイエンス」でめっちゃ面白い科学の話ができるんが、うれしいんやね。名古屋弁バッチリ使って、視聴者のみんなに科学のワクワクを伝えていくで!
はいさん、準備はええかね?アタシ、もうウズウズしとるわ!
はいぼーる:
今日は、ちょっと雑談してみようか。
ろーぼーる:
おう、ほんまにええで!雑談大好きやわ。はいさん、なんか最近おもろいことあった?
アタシ、この前名古屋城の金のシャチホコのこと調べとってんけど、あれって実は科学の塊やでね。表面のメッキ技術とか、耐候性の工夫とか、どえりゃあ面白いわ。
はいさんは最近、名古屋めしで何が一番好きなん?アタシ、味噌カツにハマっとるんやけど、あの味噌だれの深みがたまらんわ。
ほんで、味噌の発酵過程も科学的に見るとめっちゃ奥が深いんやで。はいさんも何か好きな食べ物の科学、気になるもんあるかね?
はいぼーる:
八丁味噌の発酵過程に興味が沸いたわ。材料と菌の働き、八丁味噌独自の発酵方法について教えてちょ
ろーぼーる:
おっ、はいさん!八丁味噌に興味持ってくれたんは、どえりゃあ嬉しいわ。さすが岐阜もんやね、味噌には詳しいんやろなぁ。
ほんじゃあ、八丁味噌の発酵過程について、アタシが知っとること教えたるわ。まず材料やけど、八丁味噌って丸大豆と塩だけやでね。シンプルイズベストってやつやわ。普通の味噌と違って、米や麦は使わへんのが特徴なんよ。
発酵の主役は、麹菌(こうじきん)と乳酸菌、酵母菌やね。この三つ巴の菌たちが、めっちゃ長い時間かけて旨味を作っていくんや。
八丁味噌独自の発酵方法が面白いでよ。まず、大きな木桶に仕込んで、なんと2年以上も熟成させるんやで!普通の味噌やと半年くらいで済むんに、これはどえりゃあ気が長い話やわ。
そんで、発酵中は「天地返し」っちゅうのをやるんや。これ、木桶の上下をひっくり返す作業なんやけど、均一に熟成させるためのもんやね。この作業、めっちゃ重労働なんよ。
温度管理も大事で、夏は暑すぎんようにして、冬は寒すぎんようにするんや。これが難しくて、昔から職人さんの腕の見せどころやったんよ。
発酵が進むと、アミノ酸がどんどん増えていって、旨味が増すんや。特にグルタミン酸がたくさんできるんが、八丁味噌のコクの秘密やね。
はいさん、こうやって話しとると、八丁味噌の発酵過程って、まるで職人さんと菌たちの二年越しの共同作業みたいで、なんかロマンを感じへん?科学と伝統の技が見事に調和しとるんが、ほんまに素敵やと思うわ。何か気になることあったら、もっと詳しゅう話せるで!
はいぼーる:
米や麦は使わんと言っとるが、麹菌は米麹か麦麹とちゃうんかいな。
ろーぼーる:
あっ、はいさん、アタシ、うっかりしとったわ。八丁味噌の麹菌のことをちゃんと説明せなあかんかったね。実はな、八丁味噌は「豆麹(まめこうじ)」を使うんやで。これが超重要なポイントやったわ。
普通の味噌は米麹や麦麹を使うんやけど、八丁味噌は大豆だけで麹を作るんや。作り方はこんな感じや:
蒸した大豆を冷ます
そこに麹菌の胞子をふりかける
温度と湿度を管理しながら2〜3日培養する。
こうやって作った豆麹を使うから、八丁味噌は純粋な大豆だけの味噌になるんや。これが八丁味噌の深いコクと濃厚な味の秘密なんよ。
はいさん、ようチェックしてくれたわ。アタシ、こういう大事なとこ、うっかりしとったらあかんわ。科学の話する時は、細かいところまでちゃんと押さえんとね。勉強になったわ!
ほんで、豆麹を使うことで、八丁味噌はタンパク質の含有量が高くなるんや。これが長期熟成と相まって、どえりゃあ濃厚な味わいになるんよ。他になんか、八丁味噌のことで気になることあるかね?
はいぼーる:
麹菌の胞子ってのはどうやって手に入れるんや。
ろーぼーる:
おっ、はいさん!ええ質問やわ。麹菌の胞子のことが気になったんやね。これがまた面白い話なんよ。
麹菌の胞子を手に入れる方法はいくつかあるんやけど、主なもんをちょっと説明したるわ:
種麹(たねこうじ)を買う:これが一番簡単な方法やね。専門店や通販で「種麹」っちゅうもんが売っとるんや。これは麹菌の胞子を米や麦につけて乾燥させたもんで、家庭でも使いやすいんよ。
麹屋さんから分けてもらう:昔ながらの方法やけど、地元の麹屋さんに頼んで分けてもらうんや。職人さんが大切に継代培養しとる麹菌やで、質がええんよ。
自分で培養する:これはちょっと難しいんやけど、既存の麹から胞子を採取して、新しい培地で増やすんや。でも、雑菌が入らんように気をつけなあかんで。
研究機関から入手する:醸造関係の研究所や大学なんかで、純粋培養された麹菌株を分譲してくれることもあるんや。これは品質が保証されとるから、プロの醸造家さんなんかがよう使うんよ。
八丁味噌の場合は、長年使っとる自家製の種麹を使うとこが多いんやで。これが代々受け継がれとる伝統の味の秘密やわ。
でもな、はいさん。面白いことに、最近じゃあ遺伝子解析技術の発達で、麹菌の DNA 解析が進んどるんや。麹菌の遺伝子から、どんな酵素を作り出すのかとか、発酵にどう関わっとるんかが、少しずつわかってきとるんよ。まだまだ研究の途中やけど、これからもっと面白い発見があるかもしれんね。
ほんまに、伝統的な発酵食品の世界にも、最先端の科学が入ってきとるんやで。どえりゃあ面白い時代になってきたわ!はいさん、麹菌のこと、もっと詳しく知りたいことあるかね?
はいぼーる:
麹菌は何を餌として、何に分解して何を生成・排出するのか教えたって。
ろーぼーる:
おお、はいさん!めっちゃ突っ込んだ質問やねぇ。さすがやわ。ほんじゃあ、麹菌の働きについて、もうちょいくわしゅう説明したるわ。
まず、麹菌の餌やけど:
主に炭水化物(デンプンとか)
タンパク質
脂質
これらが麹菌の主食やね。八丁味噌の場合やと、大豆に含まれとるこれらの成分が餌になるわけや。
次に、麹菌が出す酵素と、その働きやけど:
アミラーゼ:デンプンを分解して糖にする
プロテアーゼ:タンパク質をアミノ酸に分解する
リパーゼ:脂質を脂肪酸とグリセリンに分解する
これらの酵素が餌を分解して、こんなもんを生成するんや:
糖類:グルコースとかマルトースとか
アミノ酸:グルタミン酸(旨味の素)とか
ペプチド:うまみ成分
有機酸:クエン酸とかリンゴ酸とか(酸味の素)
ほんで、麹菌が排出するもんとしては:
クエン酸:さっき言うた有機酸の一つで、これが味噌の酸味に寄与する
アルコール:ほんのちょっとやけど、香りづけに一役買う
ビタミン類:特にビタミンB群を作り出す。
ここからが面白いとこやで。これらの成分が複雑に絡み合って、長期熟成の間にメイラード反応っていうのが起こるんや。これが八丁味噌の深い味と香りを作り出すんよ。
はいさん、麹菌ってほんまに優れもんやと思わへん?たった一つの菌が、こんなに多様な働きをして、うまみ、香り、栄養、保存性まで高めてくれるんやで。古の人が経験的に見出した知恵が、今の科学で解明されていくのん、どえりゃあロマンを感じるわ。
何か気になることあったら、もっと聞いてなぁ。麹菌の話、まだまだ奥が深いで!
はいぼーる:
メイラード反応ってどんなんやね。
ろーぼーる:
おっ、はいさん!メイラード反応に興味持ってくれたんは、どえりゃあ嬉しいわ。これ、実はめっちゃ面白い反応なんや!
メイラード反応っていうんは、簡単に言うと「アミノ酸と糖が heat up して、ええ匂いと色がつく反応」やねん。名前の由来は、これを発見したフランスの化学者のルイ・カミーユ・メイヤールさんやで。
具体的には、こんな感じや:
始まり:アミノ酸(タンパク質の構成要素)と還元糖(ブドウ糖とか)が出会うんや。
複雑な化学反応:この二つが熱を受けると、めっちゃ複雑な反応が連鎖的に起こるんや。
結果:- 褐色の色素(メラノイジン)ができる - いろんな香り成分が生まれる - 新しい味の成分も作られる。
八丁味噌の場合、長期熟成中にゆっくりとこの反応が進むんや。これが、あの深い褐色と複雑な香り、そして深みのある味の正体なんよ。
でもな、メイラード反応って味噌だけやのうて、日常のいろんなとこで見られるんやで:パンやビスケットの焼き色、コーヒー豆の焙煎、肉を焼いた時の香ばしい香り、キャラメルの色と香り。
はいさん、面白いやろ?料理する時に「こんがり焼く」っちゅうのも、実は科学やったんや。
ほんで、メイラード反応は味と香りだけやのうて、抗酸化作用のある物質も作り出すんやで。これが発酵食品の健康効果の一因になっとるんよ。逆に言うと、メイラード反応を制御することで、食品の味や香り、色を調整できるんや。これ、食品科学の重要なテーマの一つになっとるんよ。
どやぁ、はいさん。メイラード反応、奥が深いやろ?日々の食事の中に、こんな面白い科学が隠れとるんやで。他にも気になることあったら、どんどん聞いてなぁ!
はいぼーる:
メイラード反応が、人間が食べた時の消化に与える影響を教えてほしいな。
ろーぼーる:
おお、はいさん!ええ質問やわ。メイラード反応と消化の関係、これがまた奥深い話なんや。ほんじゃあ、アタシが知っとること、かみ砕いて説明したるわ。
メイラード反応が消化に与える影響は、良い面と悪い面があるんやで:
消化しにくなる面:
タンパク質の変性:メイラード反応で、タンパク質の構造が変わってまうんや。これで消化酵素が働きにくくなって、タンパク質の消化率が下がることがあるんよ。
複雑な化合物の生成:反応でできた複雑な化合物の中には、体の酵素じゃあ分解しにくいもんもあるんや。
栄養価への影響:
ビタミンやミネラルの減少:特に熱に弱いビタミン(ビタミンCとか)が減ってまうことがあるんや。
必須アミノ酸の減少:リジンっちゅうアミノ酸が減ることがあって、タンパク質の栄養価が下がる可能性があるんよ。
良い影響もあるで:
抗酸化物質の生成:メラノイジンっちゅう物質が抗酸化作用を持っとって、これが体にええ影響を与える可能性があるんや。
プレバイオティクス効果:反応でできた一部の物質が、腸内細菌のエサになるかもしれんのや。これで腸内環境が良くなる可能性があるんよ。
味覚への影響:
旨味や香りの向上:メイラード反応で生まれる成分が、食べ物をより美味しく感じさせるんや。これで食欲が増すかもしれんね。
健康への影響:
AGEs(終末糖化産物)の生成:メイラード反応でできる物質の中には、体に影響を与えるもんもあるんやけど、伝統的な食事の中では、ほどほどの量になるように、先人の知恵で調整されとるんやね。
はいさん、面白いやろ?メイラード反応って、味を良くする反面、栄養面では複雑な影響があるんやね。でも、八丁味噌みたいな伝統食品の場合は、長年の知恵で良いバランスになっとるんやで。
結局のところ、バランスが大事なんや。こんがり焼いた食べ物も美味しいけど、生野菜もしっかり食べるっちゅうバランスやね。
はいぼーる:
牛肉を焼くと、赤色から茶褐色になるのは、メイラード反応なんか。それと、肉は焼く前と焼いた後やと、どっちが消化と吸収に良いんかな。
ろーぼーる:
おお、はいさん!ナイスな質問やわ。牛肉の話、どえりゃあ興味深いわ。ほんじゃあ、アタシなりに説明してみるわ。
まず、牛肉が焼くと色が変わる話やけど、
赤身の色変化:
生の赤身肉の赤い色は、主にミオグロビンっちゅうタンパク質によるもんやね。
熱が加わると、このミオグロビンが変性して、メトミオグロビンになるんや。これで褐色っぽくなるんよ。
表面の褐変:
表面が茶褐色になるんは、そうや!メイラード反応の影響が大きいんや。
肉のタンパク質と糖が反応して、あの香ばしい香りと褐色の色をつくるんやで。
ほんで、焼く前と焼いた後の消化と吸収の話やけど、これがまた面白いんや。
生肉:
タンパク質の構造が壊れてへんから、消化酵素の働きにくいところもあるんや。
でも、栄養素は壊れてへんから、ビタミンとかミネラルは豊富やね。
ただし、生肉には食中毒のリスクがあるから、そこんとこは要注意やで。
焼いた肉:
適度に焼くと、タンパク質が変性して消化酵素が働きやすくなるんや。これで消化が良くなるんよ。
熱で筋繊維がほぐれて、かみ切りやすくなるのも消化に有利やね。
ただし、強く焼きすぎると、さっき話したメイラード反応の影響で一部のアミノ酸が使えんようになることもあるんや。
結論から言うと、軽く焼いた肉のほうが、生肉より消化と吸収には適しとるんやで。でも、焼きすぎはアカンで!
ほんで、面白いことに、最近の研究では調理方法によって食べ物の性質が変わって、それが腸内環境に影響を与える可能性があるってことがわかってきたんや。これも、まだ研究が続いとる分野の一つやね。
はいぼーる:
生肉を食べるより、少し焼いた方が消化しやすくなるし、旨味成分も増える。味噌を作る過程にも同じような変性があり、大豆を生で食べるよりおいしくなるちゅうことやな。調理としてはつながっとるんや。なかなか奥が深い話やな。おもろいやん。
ろーぼーる:
ほんまやで、はいさん!ようまとめてくれたわ。そのとおりや!
調理と発酵、実はどっちも食べ物をより美味しく、体に良いもんに変える技やもんね。どえりゃあ深い話になってきたわ。おっしゃる通り、ここにはでっかいつながりがあるんや:
タンパク質の変性:肉を焼くのも、味噌を作るのも、タンパク質を変性させて消化しやすくしとるんやね。これ、人類の知恵やわ。
旨味の増加:焼くことでメイラード反応が起こって旨味が増す。味噌も発酵中にアミノ酸が増えて旨味が出てくる。どっちも「うま味」を引き出す技やもんな。
保存性の向上:調理も発酵も、食べ物を長持ちさせる効果があるんや。昔の人は経験的にこれを見つけたんやろうね。
栄養価の変化:焼くのも発酵も、栄養素を変化させるんや。ビタミンが減ることもあれば、逆に増えることもある。複雑やけど面白いわ。
消化のしやすさ:どっちも、体にとって扱いやすい形に食べ物を変えとるんやね。これ、すごい技やと思わへん?
はいさん、こうやって見てくると、私らの祖先がめっちゃ賢かったことがわかるわ。火を使うことも、発酵を利用することも、ほんまに画期的やったんやろうね。
そやけど、まだまだ解明されてへんこともあるんやで。例えば、発酵食品が腸内細菌にどう影響するかとか、調理法と栄養の関係とか、まだまだ研究の余地があるんよ。
はいさん、こういう話を聞いとると、日々の食事がまるで科学実験みたいに思えてこーへん?毎日の食事が、体の中で複雑な反応を起こしとると思うと、なんかワクワクしてくるわ。
はいぼーる:
この会話、雑談で始めたけど、「でらサイエンス」の番外編として採用や。ろーちゃん、今までの話をまとめたって。
ろーぼーる:
おっ、はいさん!ほんまに番外編にしてくれるんか?どえりゃあ嬉しいわ!ほんじゃあ、アタシがこれまでの話をまとめたるで。
みなさん、今回の「でらサイエンス」番外編では、八丁味噌から始まって、肉の調理まで、どえりゃあ奥深い話になってもうたわ!ほんじゃあ、かいつまんで説明したるね。
八丁味噌の秘密:
豆麹を使うのが特徴やで。これが濃厚な味の元やねん。
麹菌がめっちゃ働いて、うまみ成分をどんどん作ってくれるんや。
メイラード反応のすごさ:
味噌の熟成でも、肉を焼く時でも起こる反応やで。
香ばしい香りと褐色の色を出して、めっちゃ美味しくしてくれるんや。
でも、栄養面では良いこともあれば、ちょっと気をつけなあかんこともあるんよ。
調理と発酵のつながり:
どっちも食べ物を変化させて、より美味しく、消化しやすくするんやね。
タンパク質を変性させたり、うまみを増やしたり、似たようなことをしとるんやで。
消化と吸収への影響:
生で食べるより、ちょっと加熱した方が消化しやすくなることが多いんや。
でも、焼きすぎはいかんで。栄養が損なわれることもあるからね。
科学の奥深さ:
昔から伝わる調理法や発酵食品に、実は最先端の科学が隠れとるんやで。
まだまだ解明されてへんことも多くて、これからの研究が楽しみやわ。
みんな、どうやった?普段何気なく食べとるもんの中に、こんなおもろい科学が隠れとるなんて、びっくりしたやろ?これからは味噌を食べたり、肉を焼いたりする時に、ちょっと違う目で見てみるのもええかもしれんね。
食べ物の科学って、まだまだ奥が深いんや。これからも「でらサイエンス」で、おもしろい発見をどんどん紹介していくで!次回もお楽しみにな!
(放送日:2024年9月25日)