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9月27日 桐生市のこと ①

「群馬県桐生市へ」

9月27日

茨城から西へ30分
北側には山が見えてくる。

稲刈り前、黄金色に実る稲穂。Googleナビに従い、信号の少ない田舎道を抜け国道50号へ

1時間ほどアクセルを踏み続けると
赤城山という看板が目に入る。

今回の目的は、ドリアンさんの元研修生
「大嶋さん」の工房
野路さん(noji)の見学。

桐生市内から北へ少し登って行く。
「桐生歴史的建物群」という看板が目に止まり気になりながらも16:00の約束10分前に到着。

最初に出迎えてくれたのは、大きな白い犬たち
(トノくん と パンくん)

涼しい部屋が好きな トノくん
玄関が好きなパンくん。

そして、大嶋さん夫婦 2人の柔らかな笑顔。
初めましての挨拶を交わし家の中へ

大きな平屋、開放感のある和室。
シンプルで整理された空間からは自然な美しさを感じた。


「見学1日目 16:00」


上履きに履き替え、エプロンをしめる。
工房に入り、仕込み開始。

工房に入ると旦那さんの「のぶさん」が
薪窯を見せてくれた。

「これが野路の窯です」

凛として美しい
力を合わせ作り上げた薪窯

そして、窯の構造、グラの大きさの違い、薪の詰め方、火の上がり方などをおしえてくれた。


「手捏ね」


グッと引き締まった空気と緊張感
「お願いします」で手捏ねが始まった。

山桜のペトラン(手捏ね桶)

写真手前から旦那さんの「のぶさん」
奥が「あやさん」の持ち場。

澄んだ空気感。
工房の中はあやさんが計量する水の音だけが聞こえる心地の良い時間。

奥から手前、そして真ん中へ、両手で2つの円を書くように捏ね始めるのぶさん。

奥から手前へ
そして真ん中へ
少しづつ馴染んでくる

少し経つと、昔はよくクラブで遊んでいた。とか、音楽の話で共通点も多く、空気が和み、仕込み開始早々に距離を縮められた気がした。

約10分後、最初の生地
カンパーニュとレザンの手捏ねが終わる。
(タネ投入前、1回目) 「16:30」

カンパーニュの生地
粉と水のみ(種を入れる前)
レザンの生地
(種を入れる前)


15分のオートリーズ中に全粒粉を手捏ねする。
(コンプレの仕込み)

オートリーズ終了のタイマーが鳴り
種と塩を入れ、手捏ねを再開。

手捏ねを生で見れる大変貴重な時間
リアルな一次情報。

話題は家の改修工事のこと、窯作りで大変だったエピソードなど、大きな車の乗り入れが困難な場所での作業は大変な苦労があったと…

清掃の行き届いた綺麗な工房の現状が最初からあったわけではなく、古く、ほこりまみれの家を1から改修し、水回りや電気設備、窓や床、天井など全て自分達の手で作り上げて行く作業は、大変さの中に充実感があり、今では良い思い出として、笑いながら明るく楽しそうに話してくれる。

そんなお二人が、リアルな苦労を笑顔で話している姿を見ていると、これから作業を始める身としては大変ありがたく、不思議とワクワクが増して、元気を分けてもらえた気がした。

ばんじゅうに生地を移し
カンパーニュの手捏ねは終了。「16:55」

その後、
レザンの生地にレーズンを絡ませていく。
生地の上にレーズンを敷き詰め、覆いかぶせるように生地を折りたたむ。その上からさらにレーズンを敷き詰め、折りたたむを繰り返してから丁寧に揉み込んでいく。

15分のオートリーズでなめらかに繋がった生地を何度も折りたたみ、レーズンを揉み込んでいく工程は、ミキサーの自動運転で混ぜるのとは違い、大変手間のかかる作業…

「ミキサーの検討は?」という質問に
「身体がついていかなくなるまでは」(笑)

と、返答をいただいた。

レザンの手捏ねも終わり、ばんじゅうへ
3種類の生地を捏ね上げる。「17:10」


「手捏ね」②

捏ね桶に本日の仕込み最後の粉
(ブリオッシュ)が入りダムを作る。

話題は共通の知り合いの話へ
自分の習っているパン教室の先生の事。

偶然なのか、必然なのか、自分がインスタ内で見つけたパン教室の先生「けいこさん」とはかなり長い付き合いだという。

群馬で女の人1人で、自家培養天然酵母のパン屋をしていた人は珍しく、正にレジェンド的存在、あやさんの話す声のトーンや表情からも尊敬している感じを受けて取れた。

大きな鍋に牛乳とタマゴを入れホイッパーで優しくかき混ぜ、ブリオッシュの仕込み液を作る

野路さんのブリオッシュは型に入れずに焼くタイプ。違いを質問すると、型焼きは「ギュッ」と詰まり、カリカリに香ばしい部分が出来る。
冬には型入れも焼くそう。

桶に築かれたダムに仕込み液が入り
手捏ね再開。「17:20」

大きく外からぐるっと中にかき混ぜ
八の字を書くように混ぜ進める。

ある程度まとまった生地を返しながら手で押すを繰り返す。混ざってくると重量が増し、生地を返す腕に力が入る。


「少し過去の話」

話題はチャツネ時代の話へ
(野路 以前のお店)

大人気店ではあったものの
毎日が忙しく、思えば色々やり過ぎていた。
仕込み、焼き、店舗の無限ループ

とにかく休みが欲しかった…と
一回仕事のリセットをするまでの経緯を
笑いながら話してくれた。

「チャツネ時代の経験はドリアンさんの研修に活かされていたのか?」という質問に

ほとんどが独学で、変な癖があったり
何かが崩れると、一気に「ダダダダダ〜」っと
色々な場所が崩れて戻る場所がなかった。

だから、誰かに教わりたいと思っていて、ドリアンさんに行って田村さんのやり方を教わることが出来てすごく良かった。

「基礎ができたというか…帰る場所ができた」

自分流は自分流で自由でいいけど、何か失敗した時とか「あれ?」って思う時に「これであっているのかな?」とか、わからなくなっちゃう。「迷宮入りしてしまう…」

ハニカミながら、少し恥ずかしそうに話す田村さんとの思い出話をする表情が印象的だった。

水分を吸収した生地は力強く、捏ね方が変わってくる。10分のオートリーズ後に種を入れ、伸ばし、手のひらで押しては生地を返し、また押しては返を繰り返す。

あやさんの腕に視点を合わせると、腕の筋肉の浮き沈みで力の強弱の加減が伝わってきた。


「自然と動物達」

ブリオッシュ生地、最後の工程
オートリーズ後、指と手で生地を揉むようにバターを伸ばしていく。バターはあえて少し残し、美味しい場所ができると教えてくれた。

この作業が中々ハードで、生地が多い日は泣きが入り、ミキサーが恋しくなると 笑。

この時の話題は山の話。

野路さんの自宅の裏は山で
自然に溢れ、動物達の住みかになっている。

この時期はマダニも大繁殖し、山から降りてくる動物達に群がり、犬達にも付く1000匹くらいを駆除した事や、あやさん自身、足や身体を刺されたことなど、苦労が尽きないとのこと。

家の裏の山が雄鹿の山
東にある山が雌鹿の山
(雄と雌で住む山が違うらしい)

家の下側にあった森が動物達の憩いの場で、夜な夜な集まって来ていたという。(今は分譲地)

人と動物達との境界線が近くなってきている。
自然が侵されてしまう。

環境への配慮、動物達との付き合い方
課題は多くなるばかり。

ブリオッシュ生地にバターを練り込み終え
本日の手捏は終了。「18:10」

工房を出て、和室で温かいコーヒーを頂く。

すっかり日が落ちて暗くなった山の中から
繁殖期の雄鹿の鳴き声が響いた。

見学1日目終了。
2日目に続く。


「今回の一曲」

    ↓
Jalen Ngonda
Come Around and Love Me

9月リリース
ここ最近ではダントツの暫定1位
最高です。

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