無題

今日を越えれば
明日を越えれば
明後日を越えれば
そのまた明日を越えれば

人生など毎日の連続に過ぎない
労苦が積み重なり
わずかな希望と喜びが目の前にぶら下げられても
一口齧るとたちまち人参のように再び括られてしまう
大きな渦が時間の流れが
自分が生まれたその場所が
人類の歴史が
1人1人に拷問を繰り返している

人生の終わりに天国を望むのは悪いことか
何も残さず消えていっていつかは誰もかれもが私のことを忘れていく
忘れられた先で人は初めて天国への門を開かれる

天国ではハープとパイプオルガンの音色が響いていて
天使たちが歌う
魂は腹の中の胎児のように揺蕩い
全ての苦しみと喜びから解放される
人生の価値は図られず
生き方も死に方もみな等しく扱われる
努力も怠慢もない世界

もはや人間ではなくなったその存在は、生者には想像も及ばぬほどに幸福な存在に違いない

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