やなヤツ
突然だが、貴方は"やなヤツ"と出会った時、どう対処しているだろうか?
私は地獄に落としている。
①中学3年生の夏である。
私は、卒業式に歌う合唱曲がジョン・デンヴァーの「カントリー・ロード」に決まったことで、英詩を日本語に訳するという大役を任されていた。
しかし想像以上に作業は難航し、やっとの思いで書き上げた訳詞は「ありきたりすぎる」などと言われる始末だった。
そんなある日のこと。
気晴らしにふざけて作っていた「カントリー・ロード」の替え歌を、たまたま別のクラスの男子に見られてしまったのだ。
彼はいたずらっぽく笑いながら私に向かってこう言った。
「"弱き者を嗤う者、人に非ず。嘘偽りなく真の姿を現せ"は、やめた方がいいぜ。」
やなヤツ、やなヤツ、やなヤツ!
やなヤツ、やなヤツ、やなヤツ!
エロイム・エッサイム!!
エロイム・エッサイム!!!
地獄の王ハーデスよ、私の血と引き換えにこの邪なる者の魂を喰らい永久に冥府の牢獄へ閉じ込めたまえ!!!!
エロイム・エッサイム!!!
エロイム・エッサイム!!!!
エロイム・エッサイム!!!!!
エロイム・エッサイム!!!!!!
②5年前のことである。
私は仕事を終え、いつもどおり帰路についていた。すると突然何者かに背後から襲われ、気がついた時には学校の教室ほどの部屋に閉じ込められていたのだ。
部屋には私以外にも12人、同様にここへ連れてこられた人達がいた。
意味不明な事態に巻き込まれ、パニック状態の私たちだったがジッとしているわけにもいかず、手分けして部屋の中を捜索することになった。
しかし数時間探しても出口も何も見つからず、皆心が折れかけていたその時、埃の被ったブラウン管がひとりでに起動した。
「やあやあ、お集まりの諸君。私が用意した部屋は気に入ってくれたかな?」
画面に映った仮面の男が、愉快そうに私たちに語りかけてくる。
「一体なんなんだ!早くここから出してくれ!」
私は叫んだ。
「そればできない。そこから出ることができるのは、生き残った1人だけだ。」
やなヤツ、やなヤツ、やなヤツ!
やなヤツ、やなヤツ、やなヤツ!
エロイム・エッサイム!!
エロイム・エッサイム!!!
地獄の王ハーデスよ、私の血と引き換えにこの邪なる者の魂を喰らい永久に冥府の牢獄へ閉じ込めたまえ!!!!
エロイム・エッサイム!!!
エロイム・エッサイム!!!!
エロイム・エッサイム!!!!!
エロイム・エッサイム!!!!!!
③つい先程のことである。
私は少し背伸びをしてオシャレな美容室で髪を切ってもらっていた。
いつもはお母さんに切ってもらうのだが、pontaポイントが貯まっていたからホットペッパービューティーで美容室を予約したのだ。
「今日はどういう感じにします?」
美容師の突然の問いに私はテンパってしまい
「あっ、えっ?いや…じゃあえーと……バリカタで……あっ、じゃなくてぇ…ラーメン屋じゃないっスもんね、でへへ」
と、大恥をかいてしまった。
この時点で既にハーデス案件だが、
「アハハ。じゃあ、いい感じに切っていきますねー。」
と散髪を始めたため一旦ハーデスストップとした。
だが、あろうことかこの愚か者は
「今日はお仕事お休みですか?」
などと聞いてきたのだ。
先ほどの失態を取り返したい私は、この美容師にひと泡ふかせようと考えた結果
「あっ、えっ?いや…じゃあえーと……バリカタ……あっ、じゃなくてぇ…ラーメン屋じゃないっスもんね、でへへ」
と大恥を上塗りしてしまった。
「アハハ、ロボット?」
とか言ってきた。
やなヤツ、やなヤツ、やなヤツ!
やなヤツ、やなヤツ、やなヤツ!
エロイム・エッサイム!!
エロイム・エッサイム!!!
地獄の王ハーデスよ、私の血と引き換えにこの邪なる者の魂を喰らい永久に冥府の牢獄へ閉じ込めたまえ!!!!
エロイム・エッサイム!!!
エロイム・エッサイム!!!!
エロイム・エッサイム!!!!!
エロイム・エッサイム!!!!!!
貴方も、"やなヤツ"に遭遇したら地獄に落としてみるのはどうだろうか。
以上です。
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