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映画感想:ノック 終末の訪問者

不意に「森ガール」って単語を思い出して思ったことなんですけど、そういえば森ガールってどこにいったんですか?

森に還ったんですか?

最近は熊害のニュースもチラホラありますが、当時も言われてたことですけど森って危ないんで…街に帰ってきた方がいいよ、真面目に。

私は熊とか鮫みたいな現実に存在するモンスターに襲われる可能性を常に考えているので、山や海に行く機会は最小限にしてます。なにかにつけて最悪のシチュエーションを想像しちゃうんですよねー。

前置きもそこそこに本日の感想。


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ノック 終末の訪問者

M・ナイト・シャマラン(2023)

簡単なあらすじ
森の中のコテージで休暇を楽しむ家族の元に、物騒な武器をもった4人組が押し寄せる。彼らは一家を縛り付けた後に、家族に向かって言う。「犠牲となる一人を選べ、でなければ世界が滅びる」

最悪のシチュエーション映画の職人、シャマラン先生です。
概要をチラと聞くだけで、興味をそそるような作品っていいですよね。それだけに観る前の期待値が上がりすぎちゃってることもあるんだけど

鑑賞前の期待値に対しての面白さのギャップが酷い

っとまではいかないのはシャマランの手腕でしょう、最低限の面白さは担保されてるよねえ。

とはいえ、私の期待とは違った点がいくつかある。

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前情報といえば、あらすじで書いたような内容だけだったので「家族」というのが、【父、父、娘】というかなり特殊な構成だったのには戸惑ってしまった。

あらすじだけ聞いて想像していた家族は、昭和の日本によくあるような【祖母or祖父、父、母、子、】、サザエさん一家のような大家族だ。

老い先短い祖母を犠牲にしよう、なんて提案をする妻、といった嫁姑の対立のような人間関係のトラブルを想像しやすかったからだ。

対して本作は最小単位といっていい3人構成、しかも親は同性愛者というイレギュラー。

片方の父親は確実に子どもと血の繋がりがない訳だから、「なるほど、これなら実の子じゃないから子どもを犠牲にしようとするトラブルを描けるな…」と関心したがまったくそんなことはなかった。寂しい。

なんなら養子だからどちらとも血縁関係はなかった。

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更に想像していた設定としては「訪問者」サイドが超常の存在であるパターンだ。

映画の冒頭で家族の子ども役にあたる「ウェン」が、森の中で捕まえたバッタを小瓶に入れて言うセリフ。

「なにもしないわ、あなたを調べたいだけ」

これは明確に生命体のカーストの上下を示す、無垢で残酷な行為のメタファー。

恐らくこの後に家族に降りかかる災難は、超常の存在による行いであり、人類には到底理解できない、理由なき理不尽な行いだからこそ恐怖するってやつだ!

と腹を括ってみたが、マジで関係なかった。
なにひとつかすってなかった。

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結局のところ、訪問者たちはただの人間だったし、家族間のトラブルはほぼなく、物語の焦点は「こいつらの言ってること信じれるか否か」だったのは驚かされた。

だって1時間40分あるんですよ。
よーくそんだけ引っ張れたなって。

っていうか正直、退屈に感じる場面はいくつかあった。選択と選択の合間、特に不意に挟まる回想シーンは物語をひっぱる強い伏線がある訳でもなく、ただ長編映画として体をなすための尺稼ぎに感じてしまった。

結局のところ今回の騒動はなんだったのか、についてもなんだかなぁという印象だ。

作中で四人の訪問者は「黙示録の四騎士」という言及があったことから、旧約聖書がベースの物語で(赤子のウェンと出会う前のシーンでも象徴的にキリストの絵が出てくる)

訪れる終末というのはまんま世界の終焉を意味するアポカリプスのことだろうと。ただそうなると選択を迫られる一家の両親がゲイカップルであることは何故かわからなくなる。

もし今作における選択が”ゲイカップルのどちらかの死を求めるもの”なのだとしたら、それこそ「ゲイカップルが生きる世界なんて滅びます」というメッセージとして受け取ることもできる。作品が同性愛者への強い攻撃性をもってしまう。

前向きに受け取るのであれば、終焉の可能性を打破した世界で生き抜くのが
実の親子ではない二人だが、そんな二人が生きていくからこそ多様性の肯定なのかもしれない。

血縁関係にない二人だがそこにある愛は本物で、だからこそとれた選択故に終焉を乗り越えた新世界を生きられるのかもしれない。

でもこうやってああだこうだ考えないと理由付けがムズい設定ってどうなん?とは思う。

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さいごに

まぁシャマラン作品ってこういう感じになるのもあるよね、って感想でしょうか。

とはいえ、世にはびこる様々な映画作品の中で相対的にみればオモロいほうだと思います。

だからオススメです。

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