映画の感想「マリグナント 凶暴な悪夢」
昨日から随分と暖かくなった。
日中であれば、もうダウンジャケットみたいな本格的な冬モノアウターは不要だろう。暖かくなるのはガリガリの私にとっては非常に嬉しいことだが、人生とは喜びだけではない。
もうすぐ花粉がやってくる。
私は20歳過ぎぐらいで花粉症になった。当時は「これは花粉症ではない、私はただくしゃみと鼻水がよく出るだけだ。」と自分に言い聞かせ、なんなら周囲の人たちにもそう言い張っていた。
来年も同じような症状が出たら、同じように自分を誤魔化せるだろうか。さっさと事実を受け止めて、薬を飲む方が楽になれるのではないか。
葛藤の日々、止まらないくしゃみと湯水の如く湧き出る鼻水と、なんか赤く腫れてきた目の周辺。
もはや事実を受け止めざるを得なかった。
アレグラは優しかった。
…
……
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なんの話かよくわからなくなったところで昨日観た映画の話をしよう。
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・マリグナント 狂暴な悪夢(2021)
※VODで配信されていますが、比較的新しい作品なのでネタバレが嫌な人はここから先は読まない方が良いかと思います。あるいは「さいごに」の項まですっ飛ばしてください。
2021年のホラー映画ではベストじゃないでしょうか。事前に色んなレビュー・動画などを見てましたが、どれもこれも絶賛だったのが納得です。これは面白い!!!
え?
怖いじゃなくて、面白い?
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そうなんですよ!面白いんですよ!
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・あらすじ
物語は悪夢を見る主人公・マディソン。その妹のシドニー。悪夢と同様の殺人事件を調査する刑事・ケコア。そして、悪夢の中で凄惨な殺人を繰り返す・謎の黒い影。
他にも何人か登場人物が現れますが、早々に死んだりするのであんまり気にしなくていいです。
この映画はジャンルとしては、ホラー・スリラーなんですが幽霊モノではありません。幽霊モノ的な演出はあることはあるのですが、そこがめっっっっっちゃ怖いからホラー無理な人は観ないで!ってなことはないです。
どっちかというと、悪夢と事件と黒い影の謎を登場人物たちと追っていく・推理・考察していく、というサスペンス的な要素のが強い。
あとカメラワークや構図がいちいち怖くて、おいカメラ止めろ!不安になるだろ!ってなる。なんなんでしょうね、ジェームズ・ワン監督はこれまでホラー映画撮りまくってるから、人間が不安や恐怖を感じる絵面がわかるんでしょうね。
そういった絵が要所要所でぶっこまれるので、幽霊やバケモノは映っていないのに「え…やだ…なんか怖い…」って気持ちにしてくれるので退屈しません。
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・ジェームズ・ワン監督
ジェームズ・ワン監督といえば、「SAW」ですよね。
SAW1作目は、当時はあまりなかったデスゲームホラー作品かつ、予想のつかないどんでん返しが話題を呼びましたよね。
本作でもSAWほどではないにしても、どんでん返しがあります。
ストーリーが進むにつれて、主人公マディソンってもしかして…?ってなっていくんですけど、グロテスクかつ素敵な裏切りをしてくれます。
演出に関しては「インシディアス」や「死霊館シリーズ」、また制作に携わった「ライト/オフ」などを感じるものが時折でてくる。そのため、ジェームズ・ワン作品を観てきた人はそういった面でも楽しめるだろう。
ってかこの監督、Wikipedia見て思ったんですけど
仕事しすぎじゃないですか?
2021年なんて監督/製作/ストーリー原案の「マリグナント」を撮ってる上で、3つの作品の製作に携わってる…。
ってか「モータルコンバット」も観ないと…フェイタリティ~を観なきゃ。
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・見どころ(ネタバレ有)
本作は主人公マディソンの悪夢を中心に物語が進んでいきます。
悪夢を見る=殺人事件が発生する、なので他の登場人物たちも動いていきます。
ただ映画冒頭の謎の研究施設での一幕、これがよくわかんない…ってまま進んでいくんですよね。この研究施設、ってのも最初の印象だけで後から病院ってことがわかります。そして、黒い影による殺人の被害者がこの病院の関係者であることから、だんだんぼんやりしていた謎がクッキリしていきます。
黒い影の殺人には明確な目的があること、悪夢という形で殺人を見ることができる主人公マディソンは黒い影と謎の繋がりがあること、マディソンの過去…。
この映画は最初の段階でドーンッと訳のわからん問題を出してきた後に小出し、小出しにヒントを出してくれます。そして、観客はある程度の推理がたてられるようにしてくれるんです。
まぁ、観客の9割ぐらいは誤った推理をしちゃうんでしょうけど(私もそうだった)。
でもちゃんと正解を提示された時に、「そんなもんわかる訳ないやろが!クソ問題じゃん!」とはならないんですよね。よくよく考えたら、そんな訳ないやろってなりますし、あのシーンはどういうこと?とか超常現象的な力は結局なんだったの?とかツッコミどころはあるんですけど
そんなことはどうでもよくさせてくれる絵のパワーと、そこからの怒涛の展開。後半の疾走感、ハンパないです。
アクションシーンもありますが、そこでガッカリさせることはなく、むしろ気持ちいいッ!!ってさせてくれる躍動感。
その体験を実現させてるのはアクションの素晴しさはもちろんなんですが、何よりもカメラワークが凄いんです。カメラがグイングイン動く。
観たいものがいい角度でちゃーんと見える。
「あらすじ」の項でも、カメラワークや構図が怖いって書きましたが、魅せ方がうまいなぁ!って思いますね。怖いシーンを撮るときはどの視点から、アクションシーンを撮るときはどの視点から、ミステリアスなシーンは、グロシーンは、、、ワンカットワンカットにこだわりを感じます。
「こだわり」っていくと、自称映画通・サブカル大好きクソ野郎が好むような類のものなんでしょって思うかもしれませんが、そんなことないです。
自己満足のこだわりではなく、面白いこだわりなんですよね。
なんで面白いのかって監督の共感力と映画を撮る技術が高いからだと思うんですよね。こういうのってみんな怖いと思うんだよねーこういうのって見てて爽快だと思うんだよねーってインスピレーションをちゃんとフィルムに絵としておさめている。
だから、自己満足ではなく面白い。
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・さいごに
うわぁ、君いっぱい語ったねぇ
って思った?ええやんか別に。
文字数の多さはそれだけ面白かったからだと思ってください。
ただ一つだけ残念な点があって、それだけはこれから観る方にお伝えしたい。
できる限り、字幕で観てください。吹替えはオススメしません。
理由としては、怪異的な存在の声がちょくちょく出てくるんですが、吹替えの声が「低級な妖怪かな?」って思うぐらいチープです。具体例を出すとしたら、映画「グレムリン」の悪グレムリンの声です。
冒頭からこの謎の声は出てくるんですが、あまりにチープなので雰囲気が壊されてます。ああ、B級映画が始まるんだな!って思っちゃいます。
なので字幕で観てください。
こんな人たちには非常にオススメです。
純粋なホラー度は低く、グロも控えめなので幅広い層の方が観れると思います。
オススメです!
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