映画感想:哭声/コクソン
気合いの入ったゴア描写で話題になった映画「哭悲/コクヒ THE SADNESS」をサブスクで探そうとして
間違えてこちらの映画のジャケットをクリックしてしまった人は多いんじゃないだろうか。
この映画、実はずいぶん前に観た。その時にレビューを書かなかったのはこの作品の面白さは【疑念】によって構成されているからだ。
作品のキャッチコピーは「疑え。惑わされるな。」
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※ネタバレ含みます
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韓国でのレーティングはR15+、とあるように残酷描写もぼちぼち。グロ期待で見るような作品ではありませんが、ホラー演出はなかなかのものっす。
物語の中盤から娘のヒジョンは、謎の病に伏せ、かつ悪魔にでも乗り移られたように豹変します。
原因はどこ?どうすれば治るのか?誰の話を信じればいいのか?っという正解のわからない意思決定を迫られる主人公ジョングが、ただただ難儀でしかない。
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画像、左下の國村隼さんが演じる”謎の日本人”
作品内の異物として起用されたそうなんだが、底の見えない得体の知れなさが怖い。
宗教的な要素があるものの知識はなくても大丈夫、あなたが感じるべきなのは主人公ジョングに感情移入して「え~もう誰が本当のこというてんの!娘を助けたいのにどうしたらええんですのん!」を目一杯感じてください。
そして悉く悪い選択をしていくジョングに「なんでこんな目に合わせちゃうのよ~」と顔をしかめてください。
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見終わった後に思うのは「結局なんだったんだよ…」という絶望感でしょうか。
謎の日本人は何者だったのか。祈祷師の真の目的はなんだったのか。随所で現れた白い服の女とは。毒きのこによる感染症だったのか。
答えを求める人はイラッとするかもしれませんが、たぶん答えはないです。あるのは【混乱】だけです。
作品内のメッセージとして「人は見たいものを見る」というのがあります。先入観や偏見っていろんな経験をもって養われる処世術のようなものだと思うんです。意思決定にかかる労力をおさえ、かつ判断のスピードをあげる。そして、判断の精度をあげる。
だからこそ選択が間違いだった時のやるせなさ。
オススメです。
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