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無理ゲー感覚 Doする東彼杵! #2


1. 早く名前と顔を区別できるようになりたい

私が東彼杵町に来て最初の1ヶ月は、とにかく人の顔と名前を一致させることでした。名刺をもらえる人はまだマシなのですが、近所の人はサッパリ覚えられません。しかも、ここは浦さんだらけ、あちらには三根さんだらけ、そっちは森さんだらけで”集落に同姓がたくさんいる”という難易度も追加される無理ゲーな要素満載で、着任5ヶ月が過ぎたもののまだ全然名前と顔の一致ができません。

無理ゲー代表格と言えば、コレ。”た○しの挑戦状”
よく見ると”小森”は無理ゲーと縁があるんですね。

2. 無限ループ

(私が佐世保弁を上手く書けないので、ここから先、町民との会話は標準語形式とさせていただきます)
さて、そんな名前と顔が全く一致しない人たちが口を揃えて、
そのぎ茶はこんな美味しいのにどうしてもっと売れないのだろうか?」
東彼杵はこんなにいい景色があるのにどうして観光客が来ないのだろうか?」
と、来るわけです。だいたいほぼ同じことを言われるので、結局名前と顔が一致しない無理ゲーの無限ループにハマります。ただ裏を返せば、町民の課題感はだいたい同じところにあるということもわかってきました。
そんなある日、私の歓迎会を役場職員と先住の地域おこし協力隊の皆さんがしてくれるということになったので、どんな話が出てくるか?ワクワクして参加しました。

難読地名ランキングに入ったことがある
ちなみに西彼杵町は現在、西海市に変わりました

「小森さん、この抹茶ポップコーンを食べてみてください。絶対美味しいと思うんです」
(私)「お!これうまい!」
「なんで、売れないんですかね?」
(私)「…。」

3. 東彼杵の現状(As is)

そもそも、私が転職することを決めて各方面に挨拶に行った時のことを思い出してみると、そこに大きなヒントが隠されていました。

(私)「このたび、転職して長崎県東彼杵町に行くことになりまして…」
「え?何?ひがし…そっ?そ?」
(私)「”ひがしそのぎ”です。ご存知ないですよね?読めないですよね?」
「これは読めん!初めて聞いた!」

まぁ、こうなります。
おそらくですが、東彼杵町民以外は、読めないし書けないのです。町のPRや知名度という観点でSWOT分析をすると内部環境の”Weakness・弱み”、外部環境の”Threat・脅威”です。今の時代、何でもスマホでササッと検索できてしまう世の中にあって、”読めない書けない地名”を誰が検索してくれるのでしょうか?
私、前職で民間企業の営業兼広報を担当していた時に似たような問題に直面したことがあります。”我が社には世界No.1の実力を誇る半導体材料がある”と自負して、半導体材料以外にも絶対に使える市場があると信じていたのですが、一歩半導体の世界を出てしまうと想像以上に製品と会社の知名度が低く、横展開ができなかったのです。いかに知名度が大事か?です。
これまで東彼杵町のために先祖代々、命に命を繋いで営んでこられた町民の皆さん、町づくりを頑張っている役場行政職員の皆さんそして地域おこし協力隊の皆さんの生き様には本当に心から敬服しています。私は諸先輩の皆さんと一緒に面白い町づくりをしたいと自ら願いここに来ました。しかし、あまりにも知名度が低い。”東彼杵”を読めたり書けたりするのは、極端に言うと世界に約9,000人(人口約7,000人+特別町民約2,000人)しかいないのです。世界人口が82億人と言われていますから、割合は0.0001%(1ppm)です。これが東彼杵のAs is。
余談ですが、半導体材料の世界では金属不純物いわゆるミネラル分の管理が非常に厳しく、例えば鉄(Fe)が1ppmも入っているとクレームになります。最新の半導体材料は1ppmのさらに1000分の1レベル(1ppb)で品質管理しています。(この手の話をし出すと私は止まらなくなるのでいつか特集組んでみることにします)

話は戻ります。先に言っておきますが、東彼杵町そして多くの事業者のインスタやXなどSNSコンテンツでのPR不足、発信力不足が悪いとは思っていません。やれることは十分やっています。
特産品の実力もあります。実際に、そのぎ茶は日本茶品評会”蒸し製玉緑茶”部門で5度も日本一に輝いています。お茶業界では超有名なのです。とある展示会でたまたま名刺交換した静岡県掛川市のある茶商さんから「日本一の東彼杵さん」と言われたほどです。ただ、町民が誇るどんなに良いお茶も、私の父が好きだった(#1参照)どんなにいい景色も”相手が見つけてくれない”限りは拾ってくれないのです。まるで、ド○クエ5でなかなか入手できない”○まびこのぼうし”のように…。

東彼杵町に来たら是非飲んでほしい”そのぎ茶”
ラベルに書かれた”日本一”が活かせていない

4. 次回予告

例えば、隣の大村市。誰しもが”おおむら”と読むでしょう(ダ○ソンなどと掃除機メーカー の名前を出してくる人はほぼいない)。大村市はベッドタウンとして人口増加中で羨ましい限りです。
東彼杵は”読めない書けない”町。ならばそれなりの戦略と戦術を作ればいいと思っていた矢先、行政らしいなかなか面白い課題が出てきました。どんな課題かって?ヒントは下の写真。ではまた次回!

なかなか大きな課題…

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