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タロット劇場⭐︎カード占い物語

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タロット占いの世界を物語で解説。カードの意味をストーリー仕立てで朗読。楽しみながらタロット占いを学べるシリーズ。※更新はお休み中です。
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2023年10月の記事一覧

[タロット劇場#15]ソード(3)小アルカナ物語

タロットのストーリー仕立てシリーズ II 、ソード3。 ★これはタロ子が日常のなか、幸せ見つける、小アルカナ物語。 タロット劇場、はじまりはじまり。★ 前回は、プリンの新商品・アイデア出しで 「A案とB案で板挟みだったタロ子」でした。 今回はソード3番目のカードです。 というのも、前回ではまだ思案中だったものの、 企画立案が具体的に定まり、 今回、試作品を試食することとなったようです。 では、試食会の現場を見てみましょう。 ……。 「ハート型のプリン」のようですね。 どうやら、 上司と同僚と一般モニターさんの3本のスプーンが 『ぶすりっ』 と、ハートのプリンに刺さったようです。 が…… なんということでしょう。 試食した人達の口から出たのは、 プリンの香りとともに、 辛辣な意見の数々だったのです……。 まっすぐだけどその冷たい口調は 言葉の剣のように鋭く、 タロ子さんのハートにも“グサリ“と刺さったようです。 * では、カードをご覧ください。 雨のなか、3本の剣がハートに突き刺さっています。 とは言いつつ、ソード3の解説に、言葉は必要なのでしょうか? それは、 ウェイト=スミス版タロットの作者である アーサー・エドワード・ウェイトも、こう述べています。 「カードの意味は、この絵から自然に連想できるもの」 と。 あなたなら、このカードのデザインを見て、 どんな意味をつなげますか? ーー言葉や情報を意味するソード。 だけれども、 その言葉が心にグサっと突き刺さると 傷くことだってある。 思考や言葉が、ハートに刺さるだなんて。 頭でわかっていても、心が追っつかないことだって。 カードに描かれた 垂れ込める雨雲や、鋭い矢のように降る雨。 それは、まるで傷心の涙が流れているようなのかなぁ。 * * * タロット・78枚のなかで唯一、 人物や動物などの象徴が描かれていないカードが、 2枚だけあります。 それは、「ワンド8」と、この「ソード3」です。 ワンド8は空飛ぶこん棒が8本だけ描かれた絵、 そしてこのソードの3は、雨空に剣が3本の絵です。 しかし、 ソード3には、人物が全く関わっていないか…? というと、そんなことはないのです。 むしろ、その逆です。 なぜなら、 “ソードが3本刺さったその赤いハート“、それは、 “心“ という 『感情と愛』 をあらわしているからです。 人物そのものではないものの、 “人の一部“ を象徴しているのです。 つまり “こころ“ を示すとき、人は自然と胸元に手を当てます。 引き裂かれるような心の痛みがあるときも、 締め付けられるような苦しみのときも、 その場所は胸元あたりなのではないでしょうか? そして ドキドキわくわく、心が動くときも、 高鳴るところは胸のあたりなのではないでしょうか? ……その胸ものには、何がありますか? そこには 『赤いハート型』で描かれるような、それがおさまっていますよね。 ソード3のカードには、人物が描かれていなくても、 “こころの象徴“が描かれているのです。 ーーハートは心。 ーーソードは言葉。 心に、言葉の剣が、ぶすりっと突き刺さる。 冷たいスプーンが、やわらかなプリンに刺さるかのように。 それは痛いですよね……。 そんなの、悲しくって、心が痛むときもありますよね……。 * この物語はタロットの世界観を「わかりやすく」お伝えすることを目的としているため、 カードの代表的な意味を“一部“だけ、ピックアップしています。 ソード3が出たからと言って 必ずしも悲しみ“だけ“をあらわすわけではない、ということなのです。 そのため、 カードリーディングしていてソード3が出たからといって、 どうか肩を落とさないでいただきたいのです。 どうしても まさにその絵柄からして、 ソード3が出ると「おっ」と、おののいちゃいがちです。 でも、こんなこと言ってしまうと本末転倒かもしれませんが、 カードの意味は、ひとつだけではありません。 ましてやこの物語だけで パッケージングしきれるようなものでもありません。 リーディングは平面じゃなく、立体的でもありますし、 もっというと 現実は机上で起きているのではないように、 カード解釈は、『現実を生きる相談者本人とのハーモニー』です。 つまり、 教科書と現場はクロスするけど、イコールじゃない。 * しかしながら、 タロット劇場のストーリーテラーです。 そろそろ本編に戻ります。 さて、 スプーンが3本、プリンにぷるんと刺さったタロ子さん。 その鋭い意見にあわや自信喪失のようです……。 いつの日か 心が晴れ、涙が虹になるといいのですが……。 そのためには一度、 悲しみの状況から離れることも必要なのかもしれませんね。 ということで次回、 ソード4「思考はいったん頭のスミに、お休み」 です!お楽しみに。 * * * * * *  『星のエンタメ☆』〜タロット劇場〜 あなたの星が実りますように。 東水みのり (※この記事の内容は、stand.fmにも投稿します)

[タロット劇場#14]ソード(2)小アルカナ物語

タロットのストーリー仕立てシリーズ II 、ソード2。 ★これはタロ子が日常のなか、幸せ見つける、小アルカナ物語。 タロット劇場、はじまりはじまり。★ 前回は「新商品開発へ向け、決意したタロ子」でした。 今回は、ソード2番目のカードです。 現在、会社内にて、アイデア出しのタロ子さん。 どうやら、2つの案が練られているようです。 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ A案:昔ながらの卵プリン B案:クリーム仕立てのとろ~りプリン ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 進捗状況を確認してみましょう。 タロ子:「A案か、B案か……?」 ……あら? 社内は平和で静かですが、 タロ子さんのアイデア企画は進行していないようですね。 行き詰まりなのでしょうか? ……いいえ。 平常のようですし、 仕事量なども均衡が保てているようですが……。 しかし、 場当たり的な作業ばかりで、 アイデア出しは保留中。 全体的にバランスは取れて平穏なはずなのに、 膠着状態。 決め手がないようです。 いったいなぜでしょう? あら……? タロ子さんったら、胸の前で腕を交差するポーズをして まるで、子どもの頃にした 「鬼ごっこの “待った“ のバリアポーズ」 みたいですね。 いったいなにを待ってほしいのでしょうか? タロ子: 「上司とクライアント。あっちを立てれば、こっちが立たず……波風を立てずに進めるためには…」 あらまぁ。 タロ子さん、ソード2の人物のように、 口は一文字を結び、黙して語らず、 ましてや目隠しまでして、 あえて情報と思考を遮断しています。 まさに「空気を読んでいる」状態です。 カードをご覧ください。 そのカードの人物は、 目隠しを “された“ のか、 “した“ のか……。 どっちでしょう? あなたがタロ子さんなら、どうですか? カードの人物は、 2本の重たそうな剣を落とさぬようなポーズです。 タロ子さんも、 Aの札とBの札を、胸の前でクロスです。 ほら……。 A案は、上司と会社とか、社内の諸々。 一方、 B案は、取引先などの社外の諸々……。 どちらか一方を選択すれば、 つまり、一本の剣を振りかざせば、 どちらかを“切る“ということです。 選ぶ、ということは、どちらかを断ち切る、ということです。 どうします? AかBか、 もし、その間で板挟みになっているんだとするのなら。 『あえて選ばない』 という選択肢も、ときに必要なのかもしれません。 どちらも捨てない、だから どちらも選ばない、 という手段で保つ。 まさに、鬼ごっこでいう、 勝ちも負けも決まらない、「待った」のポーズです。 ーー『見ない・聞かない・触れさせない』ーー バランスを保ち、周囲の空気と、自分の作戦だけに集中する。 * 今一度カードに目を向けると、カードに描かれた “月や海“が象徴するその“心“は波立ってはおらず、 「平静」をあらわしているのです。 重そうな2本の剣は まだ、どちらも振り下ろしません。 あえてこのままです。 まるで、胸の内を隠すようにクロスして……。 そう。 カード人物の衣服の色のように、 白でも、黒でもない、 グレーの選択であるように。 * * * そんなわけで、 ソード2のキーワードは、 「均衡を保ち・冷静に集中」でした。 ーーとはいえ、タロ子さん、大丈夫かしら? いよいよ3週間後は、試食会ですよ!? アイデア考案もいいけど、そろそろ決めなくっちゃ!? 次回、 ソード3「スプーンが3本、プリンにぷるんと刺さったら……」 です!お楽しみに。 * * * * * *  『星のエンタメ☆』〜タロット劇場〜 あなたの星が実りますように。 東水みのり (※この記事の内容は、stand.fmにも投稿します) (「音楽:BGMer」http://bgmer.net)

[タロット劇場#13]ソード(1)小アルカナ物語

タロットのストーリー仕立てシリーズ II 、ソード編。 タロットの小アルカナを構成する4つのスート、 ワンド、カップ、ソード、ペンタクル。 このタロット劇場では、スートの物語を入り口に、 あなたを小アルカナの世界観へと誘います。 タロット劇場・シリーズ第2段、ソード編の開幕です。 タロットにおけるソードとは剣として描かれ、 「情報や知恵」といった、風の要素を象徴しています。 それでは、物語の登場人物を紹介しましょう。 主人公の名前は、『タロ子』。 “一人暮らし、彼氏募集中の会社員” という設定です。 ★これはタロ子が日常のなか幸せ見つける、小アルカナ物語。 タロット劇場、はじまりはじまり。★ ……おや? タロ子さん、勤めている会社にいるようですね。 お仕事、頑張っている様子です。 現場では何やら、“新企画“ が始まったようですね。 タロ子さんの声を聞いてみましょう。 タロ子:「なんとしても成功させなくっちゃ!」 強い信念と力強さが感じられます。 どうやら社内で「プリンの新商品・開発企画」 が、立ち上がったようです。 タロ子:「新しいアイデアをつくらなくっちゃ!」 と、そう決意し、ペンをにぎった瞬間のタロ子さん。 というのも、 ソード・エースのキーワードは、 「決断・意思を定める・未来を切り開く」 なのです。 それでは、 カードの絵をご覧ください。 雲から伸びる手が剣を掴んでいます。 ーー“剣を掴む“……? うん…? “なにかを掴んで、始まりそうな状況……“といえば、 あれれ…。 これってどこかで似たパターンがあったような……? “自ら棒を掴みにいって、始まるカード“ーー なるほど! それは1つ前のシリーズ、 ワンド・1番目のカードでもそうだったのですね。 確かワンドシリーズ・第1話のタロ子さんも、憧れの部屋にしようと、 “自ら“ ホウキを掴んでいましたよね? それはタロットの小アルカナでも同じです。 つまり、ワンド・1番目のカード、そのものの絵柄も、 まさに雲から伸びた手が、ワンドの棒を掴みにいっています。 手に “乗せて“ いるわけではありませんよ。 手で “掴んで“ いるのです。 つかむ? のせる? 渡す? 受け取る? * では、ここで質問です。 能動か受動か、そんなとき、 あなたならどんな手の形をしていますか? ・例えば、前者はこうです。 水道の蛇口をひねったり、 コンビニでお茶を買おうと商品を手にしたり、 誰かに物をあげようとする瞬間、 つまり「主体的なとき」、あなたの手はどんな形をしていますか? ・一方、後者はこうです。 反対に、小銭のお釣りをもらったり、 渡された物を受け取ろうとする瞬間、 いわば「受動的なとき」、 その手はどんな形状をしていますか? 手のひらは、天と地どちらを向いているのでしょうか? ーーそう。 きっと、 前者は、掴む手の形。 後者は、手のひらが上向きになるではないでしょうか? 人は主体性をもって行動するとき、 手は掴んだり、つまんだり、自ら動く形をしていることが多いでしょう。 一方で、受け取るときはどうですか? 手のひらをまぁるくさせ、器のようにこぼさぬよう、 乗っける形をしています。 ワンドとソードのエースは、前者である、主体性。 そのカードの絵柄も、 棒や剣を “掴んで“ いる手の形のです。 そりゃそうです。 棒状や長さのある物は、手に乗っけられますか? 傘回しの芸達者でない限り、基本はできませんよね。 ワンドの棒は、情熱。 ソードの長い剣は、意志。 『ワンド』 ーーそれは、自らの“情熱“で、“棒“を取ること。 『ソード』 ーーそれは、自らの“意志“で、“剣“を取ること。 情熱も意志も、 “自発的“で“主体的”な性質なのです。 だから、これら2枚のエースは、 物事が「始まる」カードではありません。 「始まる」のではなく、「始める」カードなのです。 * ところで……。 小アルカナ物語といえば、4つのシリーズですね。 『ワンド、カップ、ソード、ペンタクル』 このタロットにおける4つのスートをシリーズ化にしています。 では、 『ワンドとソード』の1番目が“掴んでいる手の形“ をしているのなら、 それならば、あと2つ、 『カップとペンタクル』の1番目はどうなんでしょうか……? 手で『ガツッ』っと、がむしゃらに掴みにいっている? それとも、『そっと』手のひらに乗っけて、やさしく受け取っている? ソードとワンドが “強さと積極性“を掴むのであれば、 対する、カップやペンタクルは “受け身とやさしさ“をあらわすのでしょうか……? と…その解説はまた、いずれ今度に。 もし、すぐさま確認したい方は、 小アルカナ・1番目のカードを4枚を並べて、 ぜひご自身で絵を見比べてみてください。 “手がどう表現し、描かれている“か? (※カードをお持ちでない方も、 ネット検索で「小アルカナ・エース」などと検索すると、画像が出てきますよ) * さてさて。閑話休題。 タロ子の物語へと、話を戻します。 剣を自ら掴みにいく、ソード1番目のストーリーです。 今はタロ子さんの商品開発が成功するかどうか、 この会社で見届けたいところです。 なぜって……。 ここだけの話…。 この新企画は、タロ子さんの昇進がかかっているとか、なんとか……。 え?なぜ社内のことを知っているか、ですって? それは、カードの絵柄にも記されているからです。 改めてソード・エースの絵柄をご覧ください。 剣を握りしめる手は、“左“から伸びています。 カード・左側は過去をあらわします。 過去から積み重ねてきた ーーつまり、これまでの仕事で得た経験値による、 知恵や判断材料があるということ。 その伸びてきた意思で剣を自ら掴んでいる、というわけですね。 では、 その剣の先は、いったいなにを貫いているでしょうか? 貫いた剣先、 それは“権力や権威を象徴する王冠“です。 まさに、強い信念の証です。 そんなわけで、ソードのエース。 掴んだペン。 それで、アイデア作りを始めたタロ子さん、でした。 そういえば、“ペン“ と聞いて、 印象的な格言に、私はこんな言葉を思い出すのです。 ーー「ペンは剣よりも強し」ーー という言葉。 タロットでいうソードーーつまり剣は、 言葉や意志を表しています。 そうですよね〜…。 まさに、この剣というペンを握りしめたタロ子! 快挙を遂げるため、決まった覚悟です。 逆境さえも跳ね返すその強い意思で はたして、未来を切り開き、 見事、新商品 開発は成功になるのでしょうか!? 次回、 ソード2「只今、合間でジレンマ」 です!お楽しみに。 * * * * * *  『星のエンタメ☆』〜タロット劇場〜 あなたの星が実りますように。 東水みのり (※この記事の内容は、stand.fmにも投稿します) (「音楽:BGMer」http://bgmer.net)