日々の料理、日々の飲み物 5月7日 寿司と敷嶋を飲みながら想うこと
ゴールデンウィークもいよいよ、明日で終了。
世の中の皆様は、随分と憂鬱になりつつあるのでしょうが、私たち料理人はようやく長い繁忙期間が終了し、思わずシャンパーニュでも開けて乾杯したい今日この頃です。
まーそんな最中、後輩?部下からこんなことをリクエストされました。
『僕にも料理を開発させてほしいと』
料理を開発?どうぞ、ご自由にという感じだったのですが、よくよく聞いていると、後輩くんのアイデアで作った料理をお客様に提供したいということだったので、あーなるほど。そういうことねと。
ところで、料理の開発って、何するの?って聞くと、その後輩曰く『僕はいろいろなお店を食べ歩いているので、たくさん勉強もしているので、その経験を活かして良いと思った料理を出そうと思います』とのこと
なるほど。
それはパクリいや、再現ですね。
それはあなたの料理ではないので開発ではないですね。
とだけ伝えて、再現と開発の違いがわかったら、また、プレゼンしにおいでと伝えておきました。
さて、開発とはなんぞや?
と思うことがあります。
まーこんな偉そうなことを言っている私も、ほぼ料理は再現して、提供しているのが事実です。
相当数な料理はやり尽くされたと言っても過言ではないのでしょうか?
それを自身のアイデアにするのはおこがましい気がするのは私だけなのか?
ただ、最近思うのは料理は掬い上げるような感じで作るのが良いのではないかと。
その素材が持つ、良さを掬い上げながら紡いでいく感じと言えば良いのか。
紡ぎ方はローストかもしれない、生かもしれない、繊維を切ることかもしれない、醤油でつなぐことかもしれない。
それを一方的にすごいシェフがやってたから真似て作りました。では芸がない気がする。
芸は真似事からスタートかもしれませんが、いずれはその型を破り、そして自分の世界へ昇華する。
そこに開発という意味が隠されている気がする。
開発とはあくまでモノを開発することではなく、自分の感性を解き放ちながら形にすることなのではないかと感じます。
さて、こんな答えを後輩くんは持ってくるのだろうか?
寿司と敷嶋を飲みながら、ゆるゆると。
しあわせだな