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100均のボードゲームに見る、「悩ましさ」の実装について。

さて、1回間を挟んだ所で、残すところあと2つとなりました。100均のボードゲームの解剖。今回はこちらになります。ダイソーから出版されている「ねこチーズをうばえ」になります。

ねこチーズをうばえ パッケージ

ゲームを面白くする「悩ましさ」

このゲームは4匹の猫が持っているチーズを、プレイヤーはネズミとなって奪って勝利点とするゲームなのだが、実に上手く「悩ましさ」を実装していて、上記だけで7割は説明のつくゲームなのだが、とても手軽に、面白く出来ている。

ハイリスク・ハイリターン

多分、ゲームの場に公開されている情報に「悩ましさ」を実装する事に関して、一番分かりやすい方法は「ハイリスク・ハイリターン」であると筆者は考えている。そうではないと思われるかもしれないが、例えば「ジレンマ」は双方損をする選択で有ってネガティブな面が拭いきれない「悩ましさ」であり、初心者向きではないと思うからだ。なんにでもゲームの初心者に分かりやすいのは、「小さなリスクの回避選択より、多くのリターン」だと思っている。

このゲームではどう実装したか?

では、このゲームではその「ハイリスク・ハイリターン」をどう実装したかというと、「得点のスタック」と「バッティングによるペナルティ」である。

ハイリターンの実装

このゲーム、各ラウンド勝利点の得点源として選ばれなかった猫に対して、勝利点のスタックが発生する。スタックとは「積み上げ」のことで、これにより、次のラウンドではリターンの大きな猫が変化する仕組みになっている。

ハイリスクの実装

では、次ラウンドはそのリターンの大きな猫を狙いたい所ではあるが、このゲームの最大の肝に「プレイヤーは狙った猫がバッティングした場合、チーズが取れずに得点を得られない」というルールがある。バッティングとは日本のみでの用法で「競合する」という意味がある。つまり競合したネズミは得点をとれないどころか、狙われた猫にはさらに勝利点のスタックが発生するので、更なるハイリスク・ハイリターンにプレイヤーは悩まされる事になる。ゲームとしては、これでメカニクス含めたゲームの説明は終わりなのだが、「得点の積み上げ」と「競合のペナルティ」がガッチリ噛み合い、面白さを醸し出している。

このゲームの総評は?

さて、あまり前置きの文章が少ない状態で総評に入るが、
「狙ったところは外していない、シンプルな良ゲーム」
といった所だろうか?それもそのはず、これだけシンプルに作ってあるのは、対象年齢が6才~であるという事と、難易度が一番簡単の☆1つである事だ。(☆3つが一番難しい)以前、「ゲームの難易度を上げるとゲームの一般性は下がる」という記事を書いたが、このゲームは一般性に舵を切っていて、とても簡単に分かりやすいゲームである。なおかつ、ハイリスク・ハイリターンによる悩ましさと面白さが有るのだから、狙っているところは外していないのだと思う。唯一、プレイ人数が「3人~5人」という所が気になった位か?5人だと必ず競合が発生するので、別の難しさが現れるという点があるが・・・。

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