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議論が抜け落ちてきた「あいちトリエンナーレ」全体への感想
今回のあいちトリエンナーレについて、
物議をかもした「表現の不自由展・その後」の作品や、
萩生田氏が発表した補助金不交付問題についてばかりが取り上げられ、
芸術祭自体のクオリティーや、
不自由展以外の作品が霞んでしまっているのはもったいないのではないか?
と思って、実際に芸術祭に行ってみた観点から、
そもそもこの展示が目指していたことについてお伝えします。
○アートと社会をつなぐ展示
今回の芸術監督は津田大介さん。ジャーナリストという、アートの専門家ではない立場から芸術祭を指揮しています。
監督になったのは、実行委員から依頼されたから。
津田さんはアート界の外にいるという立場を活かして、
アートと社会をいかに接続するかを意識して準備を進めてきました。
○ローカルとポリティカル
2017年、世界最大級の芸術祭である、ドクメンタとミュンスター彫刻プロジェクトが開かれました。
津田さんは視察に行かれたそうです。(私も現地で見かけました)
ミュンスターは地域密着型で、じっくりしたリサーチをふまえて、その地域でしか生まれない作品とは何かを問い続けながら生まれている芸術祭です。
よって準備に時間がかかり、なんと10年に一回しか開かれません。
アート・市民・行政の対話。ミュンスター彫刻プロジェクトに学ぶ、地域とアートの関係
ドクメンタは、ドイツという国の覚悟、そしてブランディングと密接に関わっています。
戦時中、ナチス・ドイツはピカソやゴッホらの作品を「頽廃芸術」として規制しました。戦後、ドイツはそのような過去を決して繰り返さないために、
そして現代アートにおいてこれから先頭をきっていくために、ドクメンタを始めました。よって内容は非常にポリティカルです。
アートが国をブランディングする。5年に1度の芸術祭「ドクメンタ」レポート
津田さんに愛知でお聞きしたところ、
両展を見た上で、この2つの芸術祭の中間のものをつくろうとしたと言われていました。
今回のあいちトリエンナーレ。
実際に見てみると、
四間道・円頓寺あたりは長屋が多くあり、
昔の街並みの中に作品が溶けこんでいました。(ミュンスター的)
全体的には、愛知芸術文化センターの作品をはじめ、
政治的、社会的な作品が多かったです。(ドクメンタ的)
硬軟を織りまぜながら、
アートの持つ政治性もふくめて伝える展示会になっていました。
編集・インタビュー好きの自分にとっては、非常に楽しめる芸術祭でした。
(トリエンナーレは10/14(月、祝日)までです)