お年玉の行方
そういえば、当然ながらお年玉なるものをもらえるわけもないが、生まれてこの方、一度も誰にもあげたことがない。
あれは、誰から誰にあげるものなのか。
調べてみたら、甥っ子や姪っ子、孫、が多い。
つまり、該当する人物がいないわけだ。
ある意味、ラッキーでもある。
もらえた年頃、曽祖母と住んでいたため、正月になるともらった記憶がある。
ただ、使った記憶も貯めた記憶もなく、たぶん、親が預かり、そのままうやむやになったのではないかと、今さらながら、怒りよりも仕方なさが込み上げてくる。
昼、仲の良いヤツとランチに行った。
「金欠だからさ、松屋にしようぜ」
そう言うヤツと一緒に、牛丼を食べた。
「お年玉ビンボーでさぁ、一気に十万近く消えたわ」
「はぁ?なんでそんなに」
どうやら5人兄弟で、上4人にトータル11人の甥姪がいるとのこと。
4人の兄弟は、あげもするが貰えもし、それでもマイナスになるものの、そこまでは消えない。
一方、ヤツは子供がいないため、あげるのみで、多大な出費になるらしい。
「オレも子供十人ぐらい作ってやるわ」
半ば本気で怒っていた。
「その前に相手探せや、アホ」
「そうなんだよなぁ・・・、オマエんとこ誰かいないか?」
「オマエだって知ってるだろ?やめとけ」
「そうなんだよなぁ・・・」
半ば本気でがっかりしていた。
しかし、優しい兄弟で、4人がそれぞれ、少しずつヤツに戻しているとのこと。
なるほど、ウチの親も曽祖母に戻していたのかもしれない。
そう思えば、あながち怒ることでもないのかもしれない。
そう思った。