昼下がりの断言
なにこれ?
女性社員のデスクに、おせち料理のカタログが置かれていた。
デパート行ったらあったんで、試しに持ってきちゃいました。見ます?
片手で取り上げ差し出した。
意外と分厚い。
そして、ページをめくって驚いた。
ン十万円もするのが並んでいる。
なんじゃこりゃ?誰が買うんだ?
でしょおー?
よーく見ると、器がなんとか塗りとかいって、それが高いらしい。
料理の説明は一切なく、いかに器がすごいものか、それを滔々と語っている。
これさぁ、ホントに欲しければはじめから器買えばいいんでね?
そう思うのが庶民。こういうのはお金持ちが道楽で買うんですよ。
それにしたってだなぁ・・・。
普通のもありますよ、めくってみてくださいよ。
ページをめくる。
確かに値段がグンと下がってン万円代になる。
こっちは庶民用か。それでも高いけど。
しかし、今度はどれもこれも同じに見える。
これ、全部同じじゃないか。何が違うんだ?
しょーがないじゃないですか、おせちなんてどれも一緒ですよ。
じゃあ、どうやって選ぶんだ?
知りませんよそんなこと。感覚でテキトーに決めるんじゃないですか?ひがしさんみたいに。
サラッとグサっと言う。
正直、別に正月だからといって、わざわざおせち料理を食べたいとは思わない。
ン万円も出すくらいなら、もっと他に美味いものがあるだろうに。
こんなもん絶対に買わんわ。
買うとは絶対に思えませんわ。
キリッと言いながら、見ていたカタログを、彼女はサクッと取り上げた。