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目覚ましに


朝早いのは苦手だ。
しかし今朝は早起きし、朝一番の顧客との会議に出席した。
眠いのなんのって、その上、いてもいなくてもどうでもいい、出席することに意義がある、みたいな儀式的な会議に、どうやって目を開けておくか、それしか頭が回らなかった。

あまりのくだらなさに、会議が終わり、次別件あるからと、みんなと別れ、ひとり目覚ましに近くを歩くことにした。

一度行ってみたいと思っていた場所。
ここから歩いて15分ぐらいだ。
地図上では確かに15分だが、実際歩くと、急な登り坂があり、意外ときつく時間もかかった。
マジか・・・。けっこうしんどいな。

行きたい所は住宅地の真っ只中。
静けさだけが広がる住宅地に、近くにある幼稚園から聞こえる子供たちの元気な声だけが、うらやましくもこだまする。
な〜んにも悩みなんてないんだろうなぁ・・・。

自分が幼稚園児の時もきっとそうだったんだろう。
そんな頃よりもずっと昔の、昭和30年代の暮らしぶりがわかる家がある。
いったいどんなものなのか。
そこに行けば今のアホらしさなんて、さぞ忘れるに違いない。

着いた。が、だーれもいない。

『本日休館』



ぬぁーにぃーっ!?
せっかくせっせと急坂登ったのにぃー。

調べもせずに来た自分が悪いのは確かだが、これじゃ、歩き登ることに意義がある、みたいな虚しさだけが静けさにこだました。

また駅に戻ると誰に会うかわかったもんじゃない。
隣の駅に向かって歩いた。
目はすっかり覚めていた。

門からやや離れて
門から覗いた
門の脇から



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