夢で会いたくない
帰り道、ふと違和感を覚えた。
道路がうるさいのである。
音がうるさいのではなく、黒い路面に、やたら白線が目立つのである。
その正体は、ひし形の標識。
この標識の意味をご存知ない方のために、答は最後まで取っておく。
意外と明るい時には気付きづらいのか、朝通った時には何の違和感もなかったはずの道路。
夜、その真っ白な存在は、さらに街灯に照らされ、遠くから見ると、道路がたくさんの口を開けて笑っているかのように見えた。
そして、その口々の先には、白い梯子が横たわっている。
そしてまた、梯子を過ぎると、口々が並び、また梯子がある。
道路にこれだけ白線があるのかと、今更ながら気付いた。
普段車に乗らないとはいえ、いかに常日頃注意力散漫で歩いているのか、改めてベランダから道路を見下ろしてみた。
お前はなぁんにも見てないんだな、横断歩道があるから気をつけろよと、やっぱり笑っている口の大群がズラリと道路に壮観に並んでいた。
夢に出そうだ。