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夜中の遭遇


昨夜、時計の針が午前0時を回った頃、コンビニに出かけた。
家から歩いて3分ぐらい。
ストックしていたはずのトマトジュースがなくなっていた。
毎朝一本、悪玉のためにと、飲み続けている。

終電近くの深夜ともなると、街に人の姿はない。
静まり返った街に街灯だけが煌々と光り、自分の長い影が、私を先導して歩いて行く。


ジュースを買い、コンビニを出、家への帰り道、来た時とは違う道を歩こうと、四辻を曲がった。
四辻の先には空き家と思しき鬱蒼とした家がある。
遠くから、空き家の前の路上に丸々とした猫がいるのが見えた。
座ったままじっと丸まっている。
歩き近づくにつれ、大きめの猫だとわかった。

誰もいない静けさだけがある路上で、小さくミャーと声をかけてみた。
すると猫は、のそっと起き上がり、こちらを見た。


・・・。
猫じゃない。


至近距離になり、顔がはっきり見えた。
輪郭が横菱形で、目の周りが黒く、耳が短い。
なぜ、ここにいる?
まず頭の中を疑問がよぎった。

さらに距離を詰めたが、逃げる様子はまったくない。
かといって、触ったり驚かしたりもできない。
数秒間目が合ったまま対峙していたが、短い足でゆっくりと立ち上がると、空き家の方にのそのそと歩き消えた。

本当か?と、いまだ疑問のままスマホを取り出しググってみた。
こんな都内、しかもある程度の都心部に存在するものなのか。

答えは、存在するとのこと。
しかもそれなりにいる。
見つけた場合、特に何もせずそっとしとけ、と書いてあった。
突然の遭遇に、シャッターを切るのを忘れたのが悔やまれる。

けれど、Googleには、こうも書いてあった。
目が合うと幸運が招かれる、と。
赤もいいが、たまには緑も買ってみるか、そう思った。











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