なぜシマハイちゃんが優勝したのか #ライキン推し活対抗戦
結局、ライキンにおけるシマハイちゃんの強さというのは、特定の同盟に所属しながらも、いろいろなコミュニティの人々と自由に関わり、様々な他愛ない会話を楽しみ、かつ現地のイデオロギーには立ち入らない「観光客」としての態度を貫いたところにあったのだと思う。
「課金力」「アクティブ率」も重要だけれど、メンバーからそれらを引き出すためには、同盟内が(例えば、観光客を満載した遠足バスのような)和やかな雰囲気でないと、メンバーのモチベーションに繋がらず、課金もアクティブ率も伸びない。
僕はというと、あれからライキン推し活対抗戦には4回参加、うち幹部も2回まかせてもらって、いろいろな経験をした。どの盟主の方も素敵で、それぞれにかけがえのない、忘れ難い思い出をくれた。
けれど、優勝を飾れたのはシマハイちゃんの同盟に参加した時だけであった。僕の幹部としての力には、及ばぬところが多々あったと思う。ただ、振り返ってみて、ライキンプレイヤーとしてのシマハイちゃんの最も重要な特色が何だったかというと「観光客であった」という表現で結論づけられる。(2年近くを経てようやく言語化できてきた…。)
「彼女がいなくて寂しい」「彼女に会いたい」「彼女とこんな楽しい会話をした。また話したい」僕が参加した推し活対抗戦で、盟主の引退後にこういった声が界隈外から多数上がったのは、シマハイちゃんだけだった。こういうやり取りは、観光客が去った後のご当地の友人同士で、過去のフェイスブックの投稿を見ながら「昔、こんな観光客がうちの村に来たよね!」「あの子かわいかったねぇ、また来てほしいね」と、思い出話で盛り上がる現象に近い。
僕自身は、幹部として外交下手だったので(僕が外交をすると交渉というより詰める感じになりがちだった)各盟主やメンバーには力及ばずなところがあり、申し訳なかったと思う。いっぽうで、シマハイちゃんは、どんどん自分から他の同盟に遊びにいったり、見知らぬプレイヤーの近所にランダムテレポートして相手を驚かせたり、ワールドチャットで騒いだりして、愉快な騒動を起こしていくような振る舞いだった。それは、言わば「ふと訪れた観光客がご当地でバズを起こしていく」ような現象だったと言える。
思い返せば、ワールドチャットにおける彼女の言葉遣いも、非常に観光客めいていた。常に日本語かつネットスラング・ギャル語が満載であり、他の外国人プレイヤーに理解しやすいよう厳密に整えられてはいなかった。相手に正確な意味は伝わっていなかったと思う。外交が“普通に”上手いプレイヤーであれば、Google翻訳などを駆使して、相手に伝わりやすい表現に気をつかうものであるが、彼女の表現は、正確な意味は伝わらなくとも、それ以上に人柄が伝わるものであった。その人柄こそが、彼女の“普通以上の”外交の上手さに繋がっていたように思う。絵文字や勢いのある話し言葉が存分に駆使され、とにかく「なにか愉快なことを言っているらしい」ことだけは、必ず伝わっていたはずである。それは、今にして思えば「現地民に混ざってはしゃぐ観光客の振る舞い」そのものであった。
ハイ人会はリサーシ王国最強の同盟というわけではなかった。いっぽうで孤立した集団でもなく、王国最強の同盟と連携するし、他の推し活イベント参加者と手を組むこともあり、様々な人の力を借りて、最後にはイベントでみごとに優勝を飾った。
僕たちハイ人会は、次々と弱小同盟を征服していく修羅の集団であったと同時に、シマハイちゃんという最強の観光客に導かれ、リサーシ王国をふわふわと移動する、観光客の集団でもあった。
シマハイちゃんの活動開始から3年。ライキンイベントからは2年近くが経った。
これまで、僕は彼女の多様な魅力を適切に言語化することが難しく、一言でまとめるのは不可能だろうと感じてきたが、今では一つのセンテンスをもって表現できると思う。
「シマハイちゃんは、リスナーを観光客にしてくれる」
配信でシマハイちゃんが勧めていた謎解きイベントに行ってみた、アメリカにシマハイイロギツネを見に行ってみた、野生動物の保護団体に寄付してみた、やったこともない海外土産の個人輸入を試してみた……。
シマハイちゃんがくれたきっかけ(偶然性)に身を任せて、様々な新しい世界を知る刺激にリスナーが惹かれ続けているのは間違いない。
彼女が「リスナーの旅行記をSNSやnoteで読むのが好き」と言うのも、もっともな話である。彼女自身が、観光の楽しみ方を熟知した、卓越した観光客なのだから。
※注意
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