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大丈夫だろうは駄目かもしれない。
ポジティブな人間は信用ならないと思っている、と書くとあんまりな感じがしないでもないが、こと運転仕事やその管理、つまりは自分と同じような業界で仕事をしている人間がなんらの考えもなくポジティブであることに対して、私の評価は極めて低い。考えなければならないことはきりがない。大丈夫だろう、などという予断は厳禁、そういう仕事だ。むしろいつでも、駄目かもしれないという覚悟のもと危険予測を組み立てることこそ肝要だ。だから、深く考えているそぶりも見せずにあっけらかんとしている人間、あるいは部下を私は絶対に信用しない。用心深く、疑り深く、損得をしっかり計ってとるべき行動を選択できる人間にこそ高い評価を出したい。それはもしかすると一般的な社会における人物評価としてはあまり良いスコアは取れないような人間性かもしれない。だが、ビジネスにおいてどちらが信用できるのかは言うまでもないだろう。
用心深く、疑いの深い人間は大体がとても生真面目で繊細だ。裏切られることを心底嫌うからこそ自分が誰かを裏切ってしまったような外見が出来することを本気で恐れている。だから請け負った仕事は当然に完遂しなければならないと本気で考える。一方の大丈夫だろう、と考えがちな人間は対クライアントに対しても(品質要求を完全に満たせていないが大丈夫だろう)と考える。そしていいかげんな仕事をする。それで大丈夫であるはずが無いにも関わらず、だ。人よ、ビジネスの上では殊更に用心深くあれ、疑り深くあれ。もちろん、「あなたを疑っています」とお客様や相手方に言う必要は全くない。仕事を、作業を、成果を、スケジュールを、要求を、価格を疑ってかかるのだ。本当にこれで大丈夫なのか、と。その疑いの積み重ねこそが、ビジネス上の丁寧さになり、それは信用へと姿をかえる。大丈夫だろうは駄目かもしれない。この言葉を大切にするビジネスパーソンで私はありたい。