自賠責保険は上限金額を意識しよう!
GW後半戦、いかがお過ごしでしょうか。私は相変わらずONOFFの切り替えがあまりない日々なので普通に事務所にいたりします。今回も相変わらず、行政書士事務所的な記事ではなく、一般的な交通事故処理実務担当者向けの内容になりますが、健保治療からの被害者請求なんかは行政書士が被害者請求するときにも関係してくる内容ですからしっかり押さえておきましょう!(レセプト出ない!とかそういう突っ込んだ話はまたそのうちに記事にします)
今回は自賠責保険の傷害部分の上限についてです。以前の記事でも触れた部分と重複しますが、自賠責保険の傷害部分、より正確に言うならば入・通院部分には慰謝料まで込みで120万円という上限が設定されています。一般的な交通事故被害者が自ら被害者請求をかけていくようなケースではほとんどの場合、相手方任意保険の介入が見込めないようなケースですから、後遺障害は別にしても、交通事故人身被害について回収できる上限金額がこの120万円ということになります。ここはしっかり、事故発生当初から意識をしていくようにしましょう。
交通事故が発生して主にかかる費用は、まず医療費です。整形外科や接骨院で治療・施術等を受ける費用や処方箋をいただいて薬局から薬をもらう費用も含まれます。この医療費は、被害者請求をしなければいけない状況においては絶対に健康保険を使うべきです。(業務中であれば労災になりますのでこれはまた機会を改めます)
自賠責保険で処理をする場合は20割、なんて言いますが1点20円の100パーセント請求です。(病院によっては25円〜とさらに高いところも)相当に高額になります。今回の記事ではあまり触れませんが、自賠責保険被害者請求実務では治療と周辺に発生する費用、そして、最後に支払われる慰謝料の3つを見ながら120万円枠のなかにうまく収まるように調整していくことになります。なので、あまり治療費が高額になってしまうと、場合によっては休業損害と合わせた結果慰謝料を取りきれない、などの問題が生じることがあります。第三者行為届の提出が前提とはなりますが、原則的には健康保険を使用しての交通事故治療は可能です。この場合は1点10円かつその3割を自己負担し、この自己負担分を自賠責保険に請求するようになりますので、そもそもの立て替え金額の高額化も防ぐことができますし、先にあげた問題が生じにくくなりますね。(ちなみに残り7割は健康保険が負担した後で交通事故相手や相手方の加入している保険に対し過失割合に応じて支払うよう請求します。(求償、と言います))
時折、自由診療、つまり自賠責保険条件でなければ交通事故を見ない、などといったことを主張する病院がありますが、経験上、この手の医師はろくな者ではないので診療を受けない方が良いです。大体は腕も悪いです。相手が任意保険をつけていなかったり、自身の過失が大であり一括対応を受けられない場合などで被害者請求をかけていく状況下においては健康保険の治療がマストです。(※自身が加入している自動車保険の人身傷害保険を使用していくことができる場合がありますが、この場合も健康保険を利用するのが原則です)健保で事故の治療を受けられない、などと言っている病院とは関わり合いにならないことを強くお勧めします。ちなみに余談ですが、交通事故実務上ではそういった問題のある病院の情報はみんなで持ち合って教えあったりしていますので、例えば自分の担当する事故相手が問題のある病院での治療を希望してきた場合は一括対応をお断りしたりします。つまり、一括して欲しいなら他の病院へどうぞ、ということですね。保険会社等の単位でこれをやってしまうのは少し問題がありますが「1担当者として」であれば全く問題はありませんのでどんどんやるべきだと私は思います。不良病院、潰すべし。
なお、病院への交通費は電車バスに加え、自家用車を使用した場合のガソリン代、コインパーキング代なども合わせて請求することができます。(タクシーは少し揉める場合があります。被害者請求だと見てもらえないこともありますのでできるだけ利用は控えましょう)
その他損害として枠を圧迫しやすく、損害としても生じやすいのは休業損害でしょうか。これはその人の仕事の形態によって大きく変わりますので少し説明しづらい内容ですが、一般的な会社勤めの場合は勤務先から証明書の発行を受け請求することが可能です。詳細はまた別の項で取り上げます。
今回は内容が少しわかりづらかったかもしれません。とにかく自賠責で大事なのは、自賠責の枠内で収めることを事故発生当初から意識する、ということです。今回は被害者請求でご説明致しましたがこれは加害者請求でも同じです。相手の過失が大きいが一括対応せざるを得ないようなケースで相手方に健保利用を求めていくことで自賠責範囲で収めていくことができますから、ぜひこの点は意識してみると良いでしょう。
お疲れ様でした!