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半袖

 小麦色の肌がよく似合うね、なんて言われてるあの子の肌が本当はひどく白いことを、いったい何人が知っているのだろう。
 季節外れの真夏日がささやかれるたびにあの子を思いだす。あの子はいつもきれいだ、けれど半袖と素肌の境目にくっきりと引かれた線、あれだけはどうにも残酷で好きになれないよ。
 太陽はいつもあの子にだけ厳しすぎる、あなたがそんなに頑張る必要はないんだよと、誰が言ってもあの子は困ったように微笑むだけだ。あなたには届かないから美しいんだ、そんなフレーズが頭を過る。

 今年の夏はあの子に優しくしてくれるかな。
 だったらいい、と切に願う。
 あなたには太陽より月が似合う、それでも日の当たる所にしかいられないんだろう。

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