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シーリング制度を知っているか!? その1

皮膚科専門医のぴなくるす(Twitter  @doctorconserva)です。

専門医試験を受ける予定の方は最低でも入局6年目の方だと思います。そんな中堅になりかかっている先生方で毎年話題になる「シーリング」という制度、ちゃんと理解していますでしょうか?

なんとなく知っているけど、詳しくは知らないって人が大多数でしょう。

ぴなくるすもそうでした。っていうか今もそうです。調べれば調べるほど、よくわからなくなり、しかも毎年変更されるため正直未だによくわかりません。

医局の運営に多少口を出さなくてはいけないお年頃になったぴなくるすは毎年悩まされます。

「今年は入局者は○人に設定されたらしい。」「地域枠を使って+1人できた」「またシーリングで減らされた」なんて会話は日常茶飯事です。

シーリング制度について何となく知っていることは

・地域の医師の偏在をなくすため、5大都市では医者数を減らし、地方に医師を増やすのが目的。
・東京で皮膚科に入局できる人数は年々減っている

くらいではないでしょうか?

後輩が入るか入らないか、専門医を取ることと同じくらい重要です。死活問題です。人がいなければ何も始まりません。ということで、少し整理していきましょう。

そもそもシーリングはいつから始まったのか?

2018年度採用の専攻医から始まりました。つまり新専門医制度が始まった年です。この新専門医制度というのが全ての元凶となります。ただこのシーリング、全ての科に関係あるわけではありません。外科、産婦人科、病理、臨床検査、総合診療科以外の科においてシーリングが設定されています。

で、分かりにくくなっているのが、シーリングは試験運用期間と本格運用の時期があります。試験運用期間は2018、2019年度入局者で、その時の対象地域は五大都市(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県)のみでした。決め方は各診療科の過去5年間の採用数の平均が設定されています。

本格導入されたのは2020年度からとなります。この時点でシーリング対象地域はそれぞれの科で、それぞれ別の地域にシーリングがかかりました。

この試験期間でわかったことは、

・東京都への一極集中が是正されていないこと
・大都市である神奈川県や愛知県では医師数が過剰にはならなかったため、地域格差の解消としてうまく機能していない

ということです。このせいで、東京都への皮膚科シーリングが一気に厳しくなり、定員が毎年減らされることになります。

シーリングってなに?

シーリング【ceiling】とは英語で、 天井、最も高い値という意味です。天井につけるランプを「シーリングランプ」と言いますね。天井です。法的には、法令で定める、価格・賃金・生産量などの最高限度なんて意味もあります。専門医においてシーリングとは要は「定員数」ということです。変な英語使わないで素直に定員といえば良いのに、お役所の考えることはわかりません。都民ファーストですね。

シーリングは誰が決めてるの?

日本専門医機構という団体と、厚生労働省、それぞれの学会(皮膚科学会とか小児科学会とか)、都道府県が重層的に決定してます。なんとなくキナ臭い感じがします。おっと。

日本専門医機構って何者!?

そもそも専門医制度はむかーし昔から、それぞれの学会主体で運営されていました。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医みたいな感じですね。いわゆる「学会認定専門医(通称:旧専門医)」ってやつです。しかしそれが2014年 5 月に、「一般社団法人日本専門医機構」(いわゆる機構)が設立され,それ以降,各基本領域の専門医制度は機構の定めた専門医制度整備指針によって運営されることになってます。いわゆる「機構認定専門医(通称:新専門医)ってやつです。皮膚科で言えば2018年に専門医試験合格した人から機構認定専門医(新専門医)となっています。同じく旧専門医が2018年4月付で更新された人も新専門医爆誕となっています。

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https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/news/J20171201Kosin_FAQ.pdf

機構専門医の存在意義としては、それぞれの学会で基準がバラバラであった専門医という制度を一括して第三者が監視し、質を担保するというものでした。まあ、それは仕方ないかなと思いますが、問題はこのあとです。

当初は,専門医制度は「医師の地域偏在の解消を目的としない」という基本方針でした。

が、2018年 7 月「医療法及び医師法の一部を改正する法律」の施行に伴い、地域医療対策協議会、医道審議会、 医師需給分科会などの厚生労働省関連の組織の機能強化が図られ,運営基本方針は突然変更されました。

これが、「都道府県別診療科別必要医師数・養成数」に基づく専門医制度を用いた医師の地域偏在解消の始まりです。つまりシーリングの爆誕です。

しかし、2018年4月から試験運用とはいえシーリングが始まり、「医療法及び医師法の一部を改正する法律」は2018年7月に通知される。時系列が逆のような気もしますが、そうなっています。このへんの事情、ご指摘あれば詳しい方教えて下さい。

新専門医と新専攻医をごっちゃにしないように気をつけましょう。


と、まだまだ続きます。すこし長くなってきたので2部構成にしようと思います。もし。この時点で間違っていることあればぜひともご指摘ください。


今日もありがとうございます。ぴなくるす(Twitter  @doctorconserva)でした!


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