台湾子育て/息子、1日で2つのグッジョブ/VSD診断から1ヶ月/ママを救う吸引力
子育てをしていて、昨日ふと気づいた。
普段はいい、でも緊急時に安心して飛び込める病院やもしもの事態の時の備えが必要だと。
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息子が生まれた後の約1ヶ月、産後ケアセンターに入っていた。入居して間もない月曜日、朝11時、部屋の電話が鳴った。
電話が鳴るのは大概赤ちゃんがお腹を空かせた時で、ベビールームから「おっぱいあげる時間だよ」と言う内容だったから、その日もベビーに会えるぞ、と意気揚々と電話に出た。
でも電話口では、男性が話していて”ベビールームの看護師さんに男性もいるのか”なんて暢気なことを考えていた。しかし、内容は全く暢気ではない。「心臓が、穴が、」と言われ、出産して間も無くの私の頭には理解ができなかった。
頭がフリーズしている中、出かけた旦那さんを呼び戻し、ベビールームに紙とペンを持って出向く。言葉がわからない場合は、原始的な紙とペンが一番いい。
声の主は、提携病院から週2で問診に来る小児科医だった。簡潔だが丁寧に説明をしてくれ、おそらくVSD(心臓の右心室、左心室の筋肉の壁に穴があるもの)だろう、と。
妊娠初期で心臓の機能が出来上がるようで、もっと早くサプリをとっていたらよかった、健康に産んであげられなかった、これから病院通いになってしまうのか...そんなことを考えたら泣けてきた。
唇の周り、手足の先が真っ青になる、おしっこの回数、おっぱいの飲み具合で症状の状況をモニターできる。幸い産後ケアセンターは24時間看護師さんはいるし、週2回は小児科医の先生の問診がある。そんなに急ぎで緊急病院にかかる必要もなく、1ヶ月検診で先生に相談したらいい、とのことで絶望しかけた私たち夫婦を精神的にもサポートしてくれたのが産後ケアセンターの人たちだった。
この件もあり、産後家に帰って自分たちだけでは発見できなかったのでは、と思うと産後ケアセンターの偉大さが身にしみた。
実際は、私の産後2週間検診で主治医に話したところ、「産後センターでは、先生は聴診器で心臓の音を聞くだけだから、超音波エコーをとって心配を消そう」とのことでベビーの1ヶ月検診を待たずに検査に行ったのだが...
やはり穴があった。
新生児で見つかったVSDでは、成長とともに穴が自然に塞がる事が多いため、経過観察となる場合が多い。家に帰った今も、VSDに見られる症状もなく順調に成長しているので、穴が塞がっていることを願いながら過ごした。
昨日は、その診断から1ヶ月後のエコー。
穴は、以前より小さくなっているという。よかった。
次回は3ヶ月後、また検査をすることになった。
息子はまず、健康に過ごすというグッジョブを成し遂げた。
そうしていると、いつの間にか私の左胸上部に板が入ったようなカチカチ状態、乳輪の一部が歪なしこりができている。尋常ではない痛みに冷や汗が出る。
病院でホッとしたのも束の間、家に飛んで帰って搾乳をする。お昼ご飯も手につかないほどに痛みを伴っている。温めて、どう搾っても、搾乳機を使っても、四つん這いで一度吸ってもらっても角度がうまくいかず解消しない。
こんな緊急時に、日本だったらおっぱいマッサージに行ったり病院にすぐにかかれるのに。「どうしよう、どうしよう」と焦るばかりで、一滴も母乳が出なくなった。
胸に痛いことをしたらだめ、緊張をほぐす、オキシトシンを発令させる、授乳で吸ってもらう、という基本原則を振り返って、仮眠をとり、シャワーを浴びて試行錯誤で8時間粘り、沐浴終わりの息子の一番の吸引力に縋る。
沐浴準備中に息子を抱きしめ、ふさふさの髪の毛に顔を埋めて「しこりを頼んだよ」と謎の願掛け。
もしシコリが取れなかったら、おっぱいマッサージは誰に頼めば、といろんな考えが頭をよぎる。
まずはフットボール抱きで飲ませてみた。乳腺炎にならないように下顎にシコリが来るように、と言われるけど胸の上部は難しい。しこりを押し流すように飲ませることで優先的にそこから母乳が出るという、よく出来たママの体、母乳の力を信じて拳を握って強く押す。吸いつきが甘いのか、開通していないのか...
だめだ、開通しない。
ゲップをしてもう少し飲んでもらえそうな感じだったので、横抱きでもう一度。不思議なもので、搾乳機片手に胸を押すよりも、吸ってもらっている時に胸を押した方がなぜか痛みが軽減される。10分くらいだろうか、それとももっと短かったかもしれない。
お。
おお!
おおおおお!!!!!!
安全靴みたいな板金入りだった胸が、柔らかく動くように!
息子、二つ目のグッジョブ。
何にも勝る吸引力。ママを救った息子の力。
何度も何度もお礼をしました。
普段から自己メンテナンスは日本にいるよりも念入りに行う必要があるし、緊急時に動けるよう頭を整理しておかないと、そんな反省もした1日でした。
何はともあれ長い1日が無事に終わった。