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哲学は私に何を与えてくれたか(1)

私は大学で哲学を学んだ。

哲学を学んだ目的はいろんな人の思想を知ることが好きで、私も自分独自のブス哲学を築き上げたかったからだった。

私が学んだ哲学は主にヨーロッパの思想家による思想で、私にはどの思想家も美男美女に見えた。

美男美女の思想……

私は自分がブスなことを小6か中1くらいで自覚してからずっとブスとして縮こまって生きてきていた。

同級生からしつこくブスと言われたり冷たくされたりして戸惑いながら鏡をまじまじと見た時に

「本当だ!目は糸のように細くて鼻はかまぼこのように凹凸がなくて大きい。口は分厚くてだらんとしている。肌もやたらと黄色い!これはどうしようもないとんでもない化け物だ!」

とブスを自覚したのが始まりだったと思う。

そうして「私は化け物だ。世界一醜い。皆私の顔を見るだけで気分を害しているに違いない。同級生が訳もなく無視するのは当然だ」と思い込み、人と話すことに恐怖を覚えるようになった。

それからは一人で本ばかり読んで時間を潰すようになり、倫理の参考書を読んだのを皮切りに、哲学入門書や哲学書も手に取るようになった。

哲学者は変人エピソードを持つ変な人が多く、えぇ、こんなこと考えるの?という不思議な思想も多くて、あれ、ここなら化け物の自分も馴染めるかもしれない、と居心地の良さを感じていた。

ただその一方で、顔の美醜について真剣に言及している思想家には会えなかった。

私は顔が醜いことで人生にとても大きな支障をきたしていて、この問題は生涯、私を苦しめるけれども、思想家の誰もこれを問題にしていない。

どの思想家にもこの苦しみはわかってもらえないんだ、と孤独を感じた。

それで、私は私の問題であるブスを分析して昇華させる「ブス哲学」を確立しようと思ったのだった。

続く


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