60歳以下の新型コロナワクチン接種は必要なくなったはずなのだが……

新型コロナの4回目の接種券配布が始まった。だがこれについて間違った情報が流布している。間違った情報を撒き散らしているのはTwitterのフェイクニュースではなく市役所のコールセンターだ。仮に「やはり60歳以下も接種が必要」となった場合のオペレーションは相当混乱するのだろうなあと感じた。


新型コロナワクチンの4回目の接種券がきた。60歳以下なのに第1回目と第2回目を早めに接種したからである。うろ覚えだが「60歳以下で基礎疾患がない人は接種しなくてもよくなった」というニュースを見ていたので「打たなくていいのだろう」と思ったのだが、念のために千葉市のワクチンコールセンターに聞いてみることにした。

千葉市のコールセンターの対応はいつも混乱している。今回も問い合わせをすると「間違った認識」が出来上がっていた。「いずれ打たなければならないがあなたの順番ではない」というのだ。

  1. 第一回目も第二回目も本来は基礎疾患のない人は順番が来るまで打ってはいけなかった。あなたはどうしても打ちたいと言って高齢者を押しのけて接種した例外的な人だ。だがどういうわけか予約は通ってしまったようだ。これは本来あってはならないことだった。

  2. おそらく今回も順番が来たら基礎疾患のない人でも打たなければならなくなる。だから4回目の接種券は大事にとっておかなければならない。

  3. 国の方針がいつ出るかはわからないからあなたがいつ打てるようになるかはわからない。市政だよりで案内してやるからそれまで待っていろ。再発行は面倒だから接種権は絶対に捨てるな。

前回も「できるだけ早く接種しろ」というから協力しただけだというと1に対しては「誤解を招く言い方だった」と発言を撤回せずに謝罪された。まるで政治家の言い訳のような感じだ。偉い人がこういう言い方をすると末端までそれを真似するようになるのだ。

だが2以下について「今回はまだ順番が回って来ていないだけ」という表現については撤回しなかった。いずれは接種する時期が来るというのだ。

これについて「おかしいな」と思い検索してみると60歳未満は当面不要になったという日経新聞の記事が見つかった。記事は「科学的知見に基づいた妥当な措置だ」が「全国民分のワクチンを準備してあるのでこれが無駄になるのではないか?」という懸念が書いてあるが、おそらく「コロナにかからないため」と一生懸命に接種をした高齢者は多いに違いないが日経新聞の記事を読むと「もはや今の派生型に対して感染予防効果はない」と書いている。

武漢型をベースにつくったワクチンの4回目接種では、以前のような感染そのものを抑える効果は期待できなくなった。

ワクチン4回目接種 なぜ60歳未満は不要になったのか

また、諮問意見は「例外は認めない」という強いものになっている。

4回目接種は今月下旬から始まる。自治体からは「感染リスクが高くこれまでの接種で最優先だった医療従事者が打つ必要はないか」「対象外でも感染を恐れ4回目接種を望む人もいる」との声があがる。ただ、予防接種の原則にたてば、接種目的を感染予防でなく重症化予防に変更したのだから、例外を認めてしまえば混乱を招くだけだ。

ワクチン4回目接種 なぜ60歳未満は不要になったのか

だがしばしコールセンターの案内を聞く限り「いずれは打つことになるが、まだその時期ではないから待っていなさい」という案内になっている。おそらく厚生労働省と千葉市の担当者の間に伝言ゲームが発生しているかいい加減な外部委託のコールセンターが「勝手に」解釈をしているのだろう。

とにかく接種券は捨てずに持っておけというのだ。

千葉市が一律に接種券を送りつけてきたのは千葉市が基礎疾患に関する情報を持っていないからである。これについてコールセンターは次のように回答した。

  1. 本来は第一回目も第二回目もあなたは打つべきではなかったのだがなぜか予約が取れてしまった。本来はあってはならないことだったがシステム上仕方ない。

  2. 今回も予約を受けることができるのだが今回は接種会場で基礎疾患について聞かれる。この時に基礎疾患がないということが判明すれば接種は受けられない。これまでのようなことはできない。

  3. 基礎疾患がないのに予約をすればその分のワクチンは無駄になってしまうだろう。

これがコールセンター全体の認識なのかはわからない。だが、2名の人が同じことを言っていたのでおそらく広く共有されている知識なのだろう。つまりコールセンターの中では「これまで有耶無耶だった基礎疾患に関してのルールが徹底されたためオペレーションが変わったのだ」というお話ができてしまっている。

これまでも新型コロナワクチンに関して千葉市の対応がうまく行っていたことはなかった。だが今回はオペレーションとしてはかなり簡単になっていたはずだ。だがこの程度の情報共有も国はできなくなっているのだなあと思った。

さらにコールセンターは「誤解しているのはお前だ」の一点張りだ。このため「本当は打たなければならないのだが今は順番が来ていないだけ」という認識を改められない。

今、テレビでは「第7波で感染者が増えている」と突然慌てだした。となると5月の諮問が覆され「やっぱり基礎疾患のない人にもワクチンを」ということになりかねない。調べたところ自治体の中には……

  1. 60歳未満の人は申請してこないと接種券を発行しない

  2. 年齢にかかわりなく時期になったら接種券を送りつける

という二つの対応があるようだ。

厚生労働省のウェブサイトには「60歳以下の接種は原則必要なくなった」という情報はない。また接種券の配布方法は自治体によって異なるということが書かれているだけで「接種券が来ているが予約をしてはいけない人」や「接種権が来ているが摂取しなくていい人」がいるなどということは書かれていない。

確かに日経新聞を読むと「当面の間」と書かれているだけなので、厚生労働省の担当者が「いずれ全年齢にも4回目を」を考えている可能性はあるが、タイミング的に高齢者が第5回目接種を始めている時期と重なるかもしれない。

1~3回目接種では、接種対象者に対し、お住まいの市町村から接種券等が送付されましたが、4回目接種の場合は、接種券の配布方法が自治体によって異なります。お住まいの市町村からのお知らせをよくご確認ください。
※一部の自治体においては、今後、コロナワクチンナビでも4回目接種用の接種券の発行申請が可能になる予定です。

追加接種(4回目接種)についてのお知らせ

おそらく厚生労働省は「自分たちはマスコミに伝えた」し「市区町村も正しく理解しているだろう」と思っているのだろう。だが、新聞の情報を正確に暗記している人などいないし、市区町村もかなりいい加減な自己流の解釈で住民に間違った情報を垂れ流している。

方針が転換された場合は、おそらく60歳未満の人も市区町村事務も相当混乱するんだろうなと感じた。それぞれが「間違っているのは相手の方だ」と思い込んでいるためにどこでボタンのかけ違いが起きているのかがわからなくなってしまうのである。


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