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一度も傷ついたことのない人なんて  どこにもいない

 心がズタズタに引き裂かれると、自分だけが真っ暗闇に放り出されたような気になって、「こんな気持ちは、だれにもわからない」と思います。

 でも、本当はみんな知っています。私たちはみんな、心をえぐられるような悲しみを味わって、それをひとつずつ乗り越えて生きているからです。

 自分が深く傷つくと、その分だけ人の痛みもわかるようになるんですね。
そして、自分のやさしさで傷ついた相手をくるんで、もっと心を通わせることができるようになります。

 そうはいっても、今はまだあなたが「どうして私だけこんなことになるの?」となげいているとしたら、こう思ってみて。

「あしたには、この悲しみはやわらいでいる」

 痛みをそっと抱きしめて眠れば、やさしいあしたを迎えられますよ。
 ありがたいことに、〝悲しみは風化していく〟という性質を、神さまは私たちみんなに与えてくれたから。

   ★ 著書『もう、背伸びなんてすることないよ』(幻冬舎文庫)より★

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