小学校国語授業づくり②
桂聖編著、UD沖縄著「教材に『しかけ』をつくる国語授業 10の方法」に関する記事です。
※この記事は、教員の研修で筆者が後輩に伝えようと思っていることをnote掲載用に編集したものです。
前回の記事では、「しかけ」の作り方、中でもセンテンスカードに取り上げる叙述を決める視点についていくつか紹介しました。
今回は、センテンスカードの作り方です。教具として使うセンテンスカードを作る際に意識したいことをまとめてみます。
⑴フォントと文字サイズ
よく使っていたのは、「ゴシック体」や「メイリオ」、最近では「UDフォント」などです。
ただ、気をつけておきたいことが漢字の表記の違いです。
例えば、令和の「れい」という漢字は、上の写真のように書体によって表記が変わります。必ず教科書と同じにしなければならないというきまりはありませんが、子供が困らない方が良いですね。教科書と表記が違ったら、「教科書のこの字と一緒だよ。」と言いながら、センテンスカードの横に添えて書いてあげるといいですね。
また、文字のサイズについてですが、一般のプレゼンだと「24ポイント以上」が推奨されているようです。(筆者インターネット調べ)
しかし、これまでの経験上、黒板に貼るセンテンスカードなら「54ポイント以上」が望ましいと感じています。それより小さいと、視力に問題はなくても、後ろの席の子が目を細めてみていたことがあるからです。
「フォント」に関しても、「文字のサイズ」に関しても、実際に黒板に貼って見てみることは大切ですね。
加えて、細かいことですが、センテンスカードに記号をつけておくことも大切だと思っています。記号がついていないと、「あの文が・・・」とか「そっちの文がね・・・」のように指示語ばかりになって、せっかく選択的注意を補うための教具の効果が薄れてしまいます。ですから、センテンスカードには、「ア・イ・ウ」や「①・②・③」、「A・B・C」などのような記号をつけておきましょう。
⑵改行
次は、下の写真を見て音読してみてください。
音読すると明らかですが、断然「イ」のカードの方が読みやすいです。それは改行する場所を文節で区切っているからです。例えば、「しげった(茂る)」という言葉をまだ知らない子がいたとします。その子にとっては、改行されてしまったことで「し」と「げった」という部分が離れてしまい、「しげった」という言葉として認識できない可能性があります。
そのため、センテンスカードで改行する際は、文節や言葉のまとまりを意識して改行しておくと良いでしょう。(これまた細かいことですが、私は文の主語やキーワードを行の頭になるように改行することもあります。着目しやすいですからね。)
⑶挿絵や写真と文の対応
最後は、本書の著者である筑波大学附属小学校の桂聖先生から教えていただいたことで「場面カード」(文学教材の場合)についてです。場面カードとは、物語に添えられている挿絵とその場面に対応した文を一緒にした教具です。
下に例を用意しました。同じ文ですが、アとイでは、どちらが見やすいですか?
これも必ずという正解はありませんが、「イ」の方が場面を頭でイメージしやすい気がしています。これは個人的な感覚かもしれませんが、私は挿絵が上にあった方が好みでした。これも子供達の様子を見ながら調整したい点です。
ただ、私も挿絵や写真が下にくる場合もあります。それは、挿絵や写真を配置していく活動をした時です。下に示した写真のように、文に対応する写真を選んで配置する際は、写真を下に貼っていくこともあります。
以上、
センテンスカードの作り方として、⑴フォントと文字サイズ、⑵改行、⑶挿絵や写真と文に対応について考えてみました。最後までお読みいただきありがとうございました。
【参考・引用文献】
桂聖編著、他「教材に『しかけ』をつくる国語授業10の方法」東洋館出版社、2013年。