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筋肉増強だけじゃない!?抜け道がある!?ドーピングについて

こんにちは。
東京、埼玉、岐阜でパーソナルトレーニングジム「Sharez」を運営している岡崎秀哉(@hide_sharez)です。

このnoteでは、フィットネス業界に関することや、パーソナルトレーニング、スポーツに関することをつらつらと発信しています。

今回はスポーツ界、フィットネス界で度々話題になる「ドーピング」についてです。
「ドーピング」というと、ステロイド(アナボリックステロイド)、筋肉増強のイメージが強いと思いますし、確かにその用途で使っているケースが多いです。
しかし、その他にもパフォーマンスを高め、良い結果を得るためのドーピングは種類があります。筋力増強以外には、持久力向上、興奮、鎮静、抗炎症・痛み止めなどの目的で使用されるものがあります。
また、ドーピングについて、どのように対処しているかは各スポーツ団体や大会ごとに異なっています。

ここからは、ドーピングについての基礎知識についてまとめていきます。

1.ドーピングについて取りまとめている組織は?

ドーピングはスポーツの公平性や安全性に反するとし、禁止されています。
そのドーピングについて、世界的にルールを決めたり、取りまとめているのは世界アンチ・ドーピング防止機構(WADA)という組織です。
日本においては、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)であり、WADAのルールに沿って管理しています。
このJADAに加盟している団体は、世界基準のドーピングのルールに基づいて大会を開催したり、検査を実施したり、選手の管理を行なっているということです。
逆にいうと、JADAに加盟していない団体は、独自のルールにドーピング検査を実施したり、検査自体を行っていなかったりします。
この辺りは競技特性、団体の規模、競技レベルなどによって異なってきます。

2.フィットネス領域はドーピングに対してどう対応している?

フィットネス領域の競技で代表的なものがボディコンテストです。
それでいえば、「公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟(JBBF)」はJADAに加盟しています。
ですので、JBBFの大会はボディコンテストの中でもクリーンな大会という認識が持たれていますが、あくまで検査がしっかり行われるという意味であり、実際にドーピング使用者が出場しており、罰則を与えられた事例もあります。
ただ、その他のボディコンテストについてはJADAには加盟していないので、独自にドーピングに関するルールを設けたり、設けていなかったり、という状況です。
その他のコンテスト団体についても状況を紹介していきます。
ボディコンテスト大手「ベストボディジャパン」の大会規約にはドーピングに関する記載は特にありません。ドーピングに関してはルールも検査等も特にないということだと思います。(おそらく)

「サマースタイルアワード」では、JBBFと連携し、出場選手はアンチドーピング講習を受けることが必須になっています。ただし、検査については「実施する場合もある」という表現になっています。
逆に言えば、使用者はいたが、検査を行なっていなかったので判明していない、ということも起こりうると言えます。(極論ですが)

「FWJ」では、これまではドーピング検査を実施していませんでしたが、2025年からドーピング検査ありのナチュラルのカテゴリーを設けることを発表しています。
ただし、検査はWADA、JADAの基準ではなく、「IFBB PRO LEAGUE」の方針に則ってドーピング検査を実施するとのことです。
これは解釈によっては「ドーピングを使っても良い大会と、ドーピングNGの大会を分けて実施する」という捉え方も出てきます。

といった形で、フィットネス領域(ボディコンテスト)では、まだしっかりとドーピングを禁止する世界線にはなっていない状況です。
とはいえ、世界レベルでもそうなので、オリンピック競技とかでもないですし、特殊な領域という捉え方もできます。

ちなみに、よく話題に出る格闘技の世界はどうなのでしょうか?
格闘技の世界(に近い競技も含む)でいうと、「日本ボクシング連盟」「日本相撲連盟」「日本レスリング協会」「全日本空手道連盟」「全日本柔道連盟」「国際空手道連盟極真会館」「全日本柔術連盟」などはJADAに加盟しています。
以前「RIZIN」で、木村フィリップミノル選手が陽性になったことで話題になりました。
「RIZIN」はJADAには加盟していませんが、「2015年の旗揚げ以来、タイトルマッチやグランプリ出場選手に対しドーピング検査を抜き打ちで行ってきた」「規定はオリンピックに使用しているものに準じている」と説明している記事がありました。

「K-1」では、「K-1の権威を高め、試合の公正を期するため、選手は主催者からの要請があった場合には、いかなる場合であれドーピングチェックを受ける義務がある。検査の結果、薬物反応が出た場合、選手はそのタイトル、賞金、ファイトマネーの100%が没収される。さらに、契約書に書かれているペナルティ条項に従い処分が下される」ということで、毎回検査を行っているわけではないようです。

3.ドーピングにはどんな種類があるの?

先述したように、「ドーピング」というと、筋肉増強のイメージが強いと思いますが、実はその他にも様々な用途のものがあり、使用を禁止されています。2024年現在禁止されているものについて、世界ドーピング防止機構(WADA)の情報をもとに、ザックリですが、どんな種類のものがあるか解説していきます。

3-1.蛋白同化薬

蛋白同化薬とは、タンパク質の合成を促進するもので、いわゆる筋肉を増強するタイプのものです。アナボリックステロイドなどが代表的です。

3-2.ペプチドホルモン、成長因子、関連物質および模倣物質

わかりやすくいうと、成長ホルモンを増加させるものです。これも結果的には筋肉を増強するタイプのものです。ヒト成長ホルモンなどが代表的です。

3-3.ベータ2作用薬

ベータ2作用薬は、気管支を拡張するような効果がある薬剤のため、呼吸が楽になります。(薬としては気管支喘息の治療に用いられます)

3-4.ホルモン調節薬および代謝調節薬

これは、男性ホルモンのテストステロンが代謝され女性ホルモンに変化することを抑える薬です。結果的に筋肉増強の効果を維持します。

3-5.利尿薬および隠蔽薬

利尿薬は減量のために使ったり、尿量を増すことで違反薬を薄め排出する目的で使用されます。隠蔽薬も利尿薬のように、違反薬の使用を隠す目的で利用されるものを指します。

3-6.興奮薬

興奮薬は、闘争心を高め,集中力を高める目的などで使われます。
代表的なメチルエフェドリンは、交感神経を刺激することで気管支を広げて呼吸を楽にします(薬としては咳を鎮める成分)

3-7.麻薬

麻薬は、多幸感や無敵感を選手に与え,運動中の苦痛を軽減する作用を持っています。
代表的な麻薬のコカインは、脳神経を刺激して眠気や疲労感をなくします。

3-8.カンナビノイド

カンナビノイドは、大麻に含まれる成分で、痛みの緩和、炎症を抑え、睡眠補助の作用があるとされています。

3-9.糖質コルチコイド

糖質コルチコイドは、薬として処方されるステロイドの一つで、糖代謝、蛋白質代謝、脂質代謝、電解質代謝、血液成分の調整、神経系や循環器系、消化器系、内分泌系の制御、免疫・炎症抑制など多数の生理作用を持っています。

3-10.ベータ遮断薬

ベータ遮断薬には、心拍数や手の震えを抑える効果があるため、ダーツ、射撃、アーチェリーなどで使用されます。

といった形で、10のジャンルが禁止薬物として紹介されています。筋肉増強以外にも色々とあるのがお分かりかと思います。また、薬やドリンク、サプリメントなどから間違って摂取する可能性もあるので注意が必要です。

また、これらを摂取したことが判明した場合はもちろんNGなのですが、世界ドーピング防止機構(WADA)としては、以下の11の行為をNGとして定めています。

・採取した尿や血液に禁止物質が存在すること
・禁止物質・禁止方法の使用または使用を企てること
・ドーピング検査を拒否または避けること
・居場所情報関連の義務を果たさないこと
※あらかじめ指定されたアスリートは、自身の居場所情報を専用のシステムを通して提出、更新する必要があります
・ドーピング・コントロールを妨害または妨害しようとすること
※ドーピング・コントロールとは、ドーピング検査の一連の流れのことを指します
・正当な理由なく禁止物質・禁止方法を持っていること
・禁止物質・禁止方法を不正に取引し、入手しようとすること
・アスリートに対して禁止物質・禁止方法を使用または使用を企てること
・アンチ・ドーピング規則違反を手伝い、促し、共謀し、関与する、または関与を企てること
・アンチ・ドーピング規則違反に関与していた人とスポーツの場で関係を持つこと
・ドーピングに関する通報者を阻止したり、通報に対して報復すること
※「報復」とは通報する本人、その家族、友人の身体、精神、経済的利益を脅かす行為

https://www.playtruejapan.org/code/provision/

ということで、摂取だけでなく、それにまつわる行動についても気を付ける必要があります。

4.ドーピング検査ってどんなことをするの?

これはあくまでWADA、JADAの検査方法についてです。
まず、ドーピング検査には、競技会検査(競技会において実施される検査)、競技会外検査(アスリートの自宅やトレーニング場所などで実施される検査)の2種類があり、検体としては尿と血液があります。
また、ドーピング検査は信頼性や正確性が保証されなければいけません。ですので、ドーピング検査を実施する大会や対象者について、事前に公開されません。また、一連のドーピング検査の手順についても国際的に統一(検査及びドーピング調査に関する国際基準)されており、認定したドーピング検査員が必ず行います。

WADA、JADAに加盟していない団体でドーピング検査を行う場合は独自の検査方法がとられているので各団体に確認する必要があります。
例えば、試合当日に検査する、というルールの団体もあったりしますが、その場合、当日に陽性が出なければOKという捉え方もできるので、日常的にはドーピングを使用しているが、当日に陽性が出ないようにドーピングのサイクルを組む、という抜け道や隠蔽薬を使用するなどの抜け道ができてしまう可能性もあります。

5.まとめ

ドーピング自体も日々進化しており、検査のレベルもそれに伴い上がっており、毎年禁止物の改訂が行われたりとイタチごっこな部分もあると思いますが、スポーツの公平性、安全性を保つためにはWADAやJADAといった組織はなくてはならないと思いますし、知識を持っておくことで、使用に対する考え方も変わると思います。
ですので、選手、指導者、身近な人などが早い段階でドーピングに対する知識に触れ、理解を深めることがまず大切なのではないかと思います。

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