ふら
ふら
という言葉がある。
芸人が生まれつき
もっている
言葉では言い表せない
笑いの雰囲気のこと。
古今亭志ん生は
そんな、ふらを
もった人だった。
ある時、高座で
志ん生が居眠りを
始めてしまった。
客は怒りそうなもの。
だけど、
誰かが、
寝かしといてやれよ!
と言い、皆でその滑稽な姿を
楽しんだという。
私は志ん生を
生で観たことはない。
ただ、学生時代に池袋演芸場で
ふら
を身に纏った落語家を観た。
春風亭柳昇だ。
当時、80歳を超えていたと思う。
何ともとぼけた雰囲気に
引き込まれた。
ある時、彼はセリフを忘れた。
とっさに、
うっかりセリフを忘れた人間を
演じ始めた。
お前さん、今、言葉忘れたね。
はい。どうも最近、物覚えが悪ぅございましてね。
みたいな、機転で。
これも芸なんだなと、
印象に残っている。
最近の芸人では
2021年のM-1グランプリ決勝の
1組目、
モグライダーのともしげ
あたりが、そうだと思う。
いるだけで、なんだか笑える。
彼らのネタの斬新さは、
ともしげを
追い詰める状況を敢えて作り
相方の芝大輔が、
そのテンパリをいじり倒す
ところにある。
ネタを超えて、
リアルな人間模様が
そこに見てとれる。
なんだか新しくて
笑えた。
子どもって、
ふら
をもっている。
いるだけで笑える。
笑いすぎたわ。ごめん。