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実存主義アニメ「テイルズオブジアビス」の感想。BUMPの隠された神曲「冒険彗星」

神OPと神EDを26回ずつも聴ける神アニメ。

「テイルズオブジアビスをプレイしたことはないけど、主題歌になっているBUMPのカルマは大好き」って人は自分以外にも大勢いると思う。
今回は「カルマ」と「冒険彗星」をより豊かに楽しむために、YouTubeの公式チャンネルで、アニメ版のテイルズオブジアビスを全話見た。

昔に友人から大まかなあらすじを聞いていたので、ルークの素性とかは知ってる状態で見た。
中学の頃に「カルマ」を知ってから実に10云年越しの、歴史的な対峙になる。

神OP、神ED

「カルマ」

OP曲、言うまでもない傑作。
ただ、アニメのOP曲としては扱いづらい曲でもあった。
アバンにOPのイントロを被せてくる構成はかなり微妙だと思ったんだけど、これはOPが長すぎるが故の苦肉の策だろう。2分半もあるし。
かと言って3番部分を切ると1分になってしまって、今度は短すぎる。
カルマ以外の曲をOPに据えるのは絶対違うし、もう諦めて2分半のOPを腰を据えて流して欲しかったな。なんならフルで3分半流してくれてもよかった。

「冒険彗星」

カルマと比べて知名度は劣るだろうが、EDの冒険彗星も負けず劣らずの傑作。この後に続く感想は読まなくて良いから、とにかくこの曲を聴いてくれ。

ひとりにひとつ与えられてしまった世界の真ん中

冒険彗星

また2人で見つけようよ
遠すぎて遠ざけちゃったものや
側にありすぎて変えてしまったものや
痛みの数だけ強くなると言える弱さを
その正しさを

冒険彗星

歌詞が天才すぎる。
それも当然、藤原基央が作詞作曲しているのだ。
だから「冒険彗星」は実質BUMP OF CHICKENの曲と言っても過言ではない、かもしれない。

実存についての話

偽物と本物についての話っていうのは見る前から知っていたんだけど、それと同じくらい「自分にはどうしようもない事態」についての話でもあるなと思った。
ルークなんかはそれの最たる例で、自分の素性に気づいてしまったときには既に出来ることは何もない。だって偽物だとしても既に生きてしまっているから。

そして、この「産み出されてしまった」というどうしようもなさは別にレプリカであるルーク特有のものではなく、全ての人に共通するものだ。
みんな選択の余地なく、気づいたら生きてしまっている。実存主義において、このどうしようもなさには「被投性」という言葉があてられている。

「預言が破壊され、自分で自分の未来を作っていく世界になる」という終わり方からしても、このテイルズオブジアビスは非常に実存主義的な話だ。

そしてそれを綺麗に表す冒険彗星の
「ひとりにひとつ与えられてしまった世界の真ん中」
という歌詞。うーん名曲。

終盤の感想

話は終盤になるにつれて失速していた。

最終決戦での争点がルークの抱える葛藤と噛み合っていないので萎えてしまう。
ルーク曰く、
「俺みたいな思いをする奴を増やしたくない」
でも世界からオリジナルが消えてレプリカだけになった場合、ルークみたいな思いをする奴はいなくないか?
ルークはオリジナルとレプリカの狭間で苦しんでいたのだから、全てがレプリカになればルークのように苦しむ奴は生まれ得ない。

また、「レプリカでもオリジナルな人生を持っている」って方向で話が進んでいたのだから、レプリカだけの新世界を作るという悪役の野望を「レプリカが可哀想」みたいな方向からは反対できない。

せめてルーク達は「そのために滅亡させられるオリジナルが可哀想」って方向で反対するべきで、その場合、レプリカだけの新世界はルークの抱える「オリジナル/レプリカ」の葛藤とは何も関係がないものになってしまう。
(単に世界を滅ぼすとかの別の野望であっても問題なく話が成り立つ)

オリジナルとレプリカ、自分のアイデンティティ、みたいな話を、世界全体の話にスケールアップさせるのに失敗してる印象を受けた。

終盤は楽しめなかったけど、「カルマ」と「冒険彗星」という大大大名曲を生み出したので良い作品だと思った。
それに、アニメを観たおかげでこの二曲をより豊かに楽しめるようになったので満足!(冒険彗星の持つ実存的な主題とかね)

余談:1番好きなキャラはイオン!

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